2021年振り返り 「ギガ活」「SIMロック禁止」「京都ヨドバシ×ロピア」など
今年も残り少し。家電量販店やスマートフォン(スマホ)、デジタル関連の話題から、個人的に気になった話題をランキング形式で紹介しよう。●5位・#ギガ活(au PAY&povo2.0) 「#ギガ活」はeSIM対応のauのオンライン専用ブランド「povo2.0」契約者向けの特典で、以前からKDDIが掲げていた「通信とライフデザインの融合」を目指すプログラム。ローソン、menu、ドトールコーヒーショップ、すき家、はま寿司など、対象の店舗・サービスで、事前にエントリーしたau IDの「au PAY」を利用すると、指定の通信容量(ギガ)がもらえる。 povoは、MNOサービス開始2年目を迎えた楽天モバイルが打ち出した「Rakuten UN-LIMIT VI」の「1GBまでプラン料金0円」に対抗する、いわゆる「0円」プランでもある。動作確認端末にiPadなどのタブレット端末を追加し、「2台目以降のスマホ・タブレット向け0円スタートプラン」としてリブランディングすると、「ポイ活」の発展形、ギガ活がますます盛り上がりそうだ。・毎日の買い物などでお得な「#ギガ活」スタートhttps://www.bcnretail.com/market/detail/20210914_243846.html●4位・キャリアメール持ち運び 総務省は2020年10月に公表した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」で「キャリアメール持ち運び」を検討項目に挙げ、今年12月、実際にサービスがスタートした。持ち運びは無料ではなく有料。料金は各社横並びで月額330円(ソフトバンクは当初は年間3300円プランのみ、月額330円プランは22年夏以降開始予定)だ。 オンライン専用ブランドの料金体系・プラン内容を決めた、ドコモの「ahamo(アハモ)」の開始に間に合わず、遅きに失した感は否めないが、それでもキャリア間の乗り換え促進に向けた大きな変化だ。●3位・21年10月以降SIMロック原則禁止 4位ときっかけは同じ。21年10月1日以降にキャリアが発売するスマホ端末は原則SIMロックが禁止となり、SIMカードを差し込むだけで使える。実際には端末によって利用可能な周波数帯(バンド)が異なり、iPhone以外は購入したキャリアのまま使うか、最初から各バンド対応のSIMフリー製品を購入したほうが無難。だが、モバイル市場の公正な競争に向けた一連の改革は、スマホ販売の慣習・ルール見直しの最初の転機となった16年1月当時、官房長官を務めていた菅義偉前首相の成果だろう。 ・日本のスマホ料金は2973円に大幅にダウン。世界第2位の安さにhttps://www.bcnretail.com/market/detail/20210908_242964.html●2位・楽天モバイルiPhoneの取り扱いを開始 ドコモはなかなかiPhoneの取り扱いを開始しなかったが、楽天モバイルはあっさりと開始。それにあわせて、21年4月30日からiPhone 6s以降の正式サポートも開始した。販売価格は4キャリア中最安で、楽天カード限定で48回分割払いも可能。その後、「Rakuten Link」iOS版の仕様変更で、無料通話・無料SMS送受信は利用しづらくなったが、他社に先駆けて始めたeSIMは、24時間オンラインで再発行可能・手数料無料なのでeSIM対応のiPhone/iPadと組み合わせると便利だ。 ・iOS版「Rakuten Link」の仕様変更 7月6日から順次 使い方の見直しをhttps://www.bcnretail.com/market/detail/20210706_233706.html●1位・京都ヨドバシに激安スーパー「ロピア」出店 ロピアは神奈川県を地盤とするスーパー。わずか数年で首都圏の1都3県に多数の店舗を出店し、北関東の茨城県や関西エリアにも進出した。もともと精肉店だったため精肉・肉加工商品に強く、グループ企業のユーラス(神奈川県平塚市めぐみが丘)によるチーズやチョコレートなどの輸入食材もオリジナリティが光る。 そのロピアが京都の玄関口に位置する「京都ヨドバシ」の地下フロアに出店すると知った時、勢いのある企業同士のタッグは強そうだと感じた。11月18日に店舗がオープンすると、SNSには店内写真が投稿され、大いに話題になった。京都ヨドバシ店独自の取り組みとして、新型コロナウイルス感染症の収束後、回復が期待されるインバウンドを意識したデパート顔負けの豊富な品揃え・ロピア定番の大量陳列という。今後、同様にヨドバシカメラ マルチメディア館地階へのロピアの出店が増えるとすれば、それぞれの競合は厳しい立場に追い込まれるのではないだろうか。 ●(番外)「デジタル田園都市国家構想」起動 デジタル田園都市国家構想とは、以前からあった都市計画ビジョンの「田園都市国家構想」に「デジタル」を組み合わせた造語。「新しい資本主義」実現に向けた成長戦略の柱と位置付け、地方から自動運転、ドローン宅配などの新技術を含むデジタルの実装を目指す方針を岸田文雄首相は打ち出している。・テレワーク、ドローン宅配、自動配送などを後押しhttps://www.bcnretail.com/market/detail/20211117_253355.html 「携帯電話料金値下げ」に比べ、具体性に乏しく、理想論に近い新しいスローガン、デジタル田園都市。来年以降は今まで以上に国や官民連携によるデジタル改革に注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)