なぜ違う? Googleアシスタントの通訳機能と、Google翻訳の会話モード
Google独自のチップセットが搭載された「Google Pixel 6」と「Google Pixel 6 Pro」では、機械学習のオンデバイス処理が高速になり、クラウドに頼らない日本語音声認識が可能になっています。
前モデルの「Google Pixel 5」では英語のみの対応だった、音声の録音と同時にテキスト化(文字起こし)ができるレコーダー機能も日本語に対応。ライター陣の間で、インタビュー取材時などに使えそうだと話題になっています。
筆者はさらに通訳機能の進化にも注目。英語が苦手なのに勉強もしたくない筆者は、言葉の壁はできればテクノロジーの力で乗り越えたいという他力本願な野望を抱いています。以前にもこの「みんなのケータイ」に、Googleのヘッドフォン「Google Pixel Buds」のリアルタイム翻訳に期待して裏切られ、でもまだ期待しているという話を書きました。
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「Google Pixel 6」と「Google Pixel 6 Pro」では、Googleアシスタントの通訳機能が高速かつ精度も高くなっていて、双方向での機械翻訳がかなりスムーズに行えます。実際に外国人の友人と「Google Pixel 6 Pro」でGoogleアシスタントの通訳機能を試してみましたが、友人もそのスピードと精度に驚いていました。音声認識のスピードが速すぎて、言葉を切るとその時点で翻訳されてしまうので、ついつい早口になってしまうほど。いよいよテクノロジーで言葉の壁を越えられる時がきたかも! と小躍りしたくなります。
通訳機能はGoogleアシスタントに、「英語に通訳して」のように話しかけると起動します。日本語で話しかけると即座に音声を認識して、リアルタイムにテキスト化。それが英語に翻訳されて読み上げられるしくみです。逆に英語で話すと今度は英語がテキスト化され、日本語に翻訳されて読み上げられます。「自動」モードではどちらが話してもその言語を認識して、相手の言葉に翻訳されます。驚くのは音声認識から翻訳、読み上げまでの速度がかなり速いこと。会話のスピードを落とすことなく話し、理解することができます。
もしこれをヘッドフォンから操作できたら、互いに違う言語を話しながら自然な会話ができる(しているように見える)のではないでしょうか。そこでヘッドフォンからGoogleアシスタントを起動できる「Google Pixel Buds A-Series」を使って、試してみました。
「Google Pixel Buds A-Series」を装着して、ヘッドフォンの外側を長押しするとGoogleアシスタントが起動します。
「英語に通訳して」と話しかけると、Googleアシスタントの通訳機能ではなく、「Google翻訳」アプリの会話モードが起動してしまいました。Googleアシスタントの通訳機能は前述のように、音声認識から翻訳、読み上げまでかなりスピーディーなのですが、「Google翻訳」アプリの会話モードはちょっと勝手が違います。Googleアシスタントの通訳機能では前述のように「自動」モードが利用できますが、「Google翻訳」アプリの会話モードは、ヘッドフォンを使用していると言語の自動認識が利用できません。日本語で話すときは「日本語」、英語で話すときは「English」と書かれたボタンを押して話す必要があります。また音声認識から翻訳、読み上げまでの速度も少し遅く感じます。日本語の読み上げる合成音声も、Googleアシスタントの声(まぁこれも合成音声なのですが)で読み上げる通訳機能に比べると、少し聞き取りにくいです。
会話のスピードを落とすことなく話せる、Googleアシスタントの通訳機能がヘッドフォンでも利用できたら、よりスマート(に見える)だろうと思いましたが、そううまくはいかないようです同じGoogleの翻訳の機能なのに、Googleアシスタントと「Google翻訳」アプリで、なぜ違うのか。疑問に思って試しにオフラインにして実行してみたところ、Googleアシスタントの通訳機能は「自動」モードこそ使えなくなるものの、言語を選んで話せばオフラインでも翻訳されましたが、「Google翻訳」アプリはオフラインでは使えませんでした。どうやらこちらはまだオンデバイスでの処理になっていないようです。なおこの実験で、オフラインの場合はGoogleアシスタントの通訳機能の日本語読み上げも、「Google翻訳」アプリと同様の合成音声になることもわかりました。
会話スピードの通訳機能がヘッドフォンで使えたらさらにスマートなはずと思ったのですが、筆者が試した限り「Google Pixel Buds A-Series」からは「Google翻訳」アプリが起動してしまい、うまくいきませんでした。「Google翻訳」アプリも追ってアップデートされると思うので、もうしばらく待ちたいと思います。