足元の貧困に地方政治はどう向き合っているか、あるいはいないのか―埼玉県秩父市議会の場合
◆ほんとに貧困なんてあるの?と問う議員さんたち
「地域の住民のためになるかどうかが基本になっております。よく私が言っていることは、社会的に恵まれている方、経済的に恵まれている、またその中で社会的地位に恵まれている方、こういった方たちは基本的には政治の力は要らないんだろうというふうに思っております。三角のピラミッドということの中では、低年層(ママ)の一番下のほうの層の人たちが、よく声なき声というんですが、その人たちのためになるかどうか。そこでセーフティネットを通じて何とかその声を拾い上げて・・・」
「誰のために政治をやるのかということだと思うんです。私にしては、この地域の市民のため、そしてまた社会的弱者の小さな子どもから、そしてまた高齢者の方々、幅広く皆さんのためになることを常に考えながら努めていきたいというふうに思っています。」
「経済的に恵まれている家庭と生活に困窮している家庭がある中で、大人の格差社会を小学生である子どもの世界に持ち込みたくないという私の強い思いから、令和5年度の新入学児童が同じランドセルとなるよう現物支給するための予算を措置するものでございます。なお、保護者の方々がランドセルの予約、購入をする前に市の方針を示す必要があることから、新年度予算をご審議いただく前に債務負担行為を設定させていただくものでございます。」
「裕福と思われる家庭が10万円以上のランドセルを皆さんが買っているのか。また、生活に大変苦労している方が必ずしも安価なランドセルを買っているというのは、実態としては分かりません。生活にゆとりのある家庭は高いものを買う、生活に厳しいご家庭は安価なランドセルを買うという固定観念とも取れる。また、高いものはよいもの、また安いものは悪いもの。言い換えると、ランドセル自体の機能性や子どもたちが真に欲しいものを選ぶという行為よりも、経済力の豊かさや値段によって子どもたちに優劣をつける差別や偏見を市長自身が思っていられるようにも聞こえるんですけれども、いかがでしょうか、伺います。」
「就学援助の支給、新入学児童生徒学用品等についてでございますけれども、令和3年度の内容になりますけれども、学用品、小学生ですけれども、5万1,060円という金額になっておりまして、ランドセルも買えるんですけれども、ランドセルを買ってしまうと、ほかの学用品が買えないというふうな状況になろうかと思います。」
◆議会が屁理屈とデマ宣伝の場に
「まずは経済的な負担軽減ということと、健全な子どもの育成という形で両方がはいっているというような形で検討はしております」
「要はそのランドセル、生活に苦しい方々はランドセルを買えない状況になっていますよということはないということでよろしいですか。」
「この施策を通じていろいろな市民のうわさもお聞きします。あくまでも私の意見ではないので、市民の意見として1つだけ最後にお話して私は終わりにしますけれども、結果的にこのランドセルの現物、目的と手段がもう全く違っていて
◆市議会の中にはまともな意見もある
秩父市の1人当たり市民所得が241万円万円に対し、近隣の熊谷市は304万円、飯能市は282万円、県全体では305万円となっている。年所得で秩父市民は熊谷市民より60万円、飯能市民より40万円、県全体より65万円少ないことになる。ちなみに埼玉県の全市のなかで秩父市は最下位である。清流クラブとそれに同調する清野議員は、この現実に目をつぶって何をしようとしているのだろう。
(注1)
https://www.facebook.com/groups/288740595952326
(注2)共産党山中議員から
6番(山中進議員)
どこが反対かというのは、修正しなきゃならないのかという、言葉だけで捉えて提案しているような感じがするんです。もともとこの事業については、皆さん聞いていて、駄目だとは言っていないみたいなんです。
(注3)清野議員のランドセル予算拒否提案への賛成意見
令和5年度新入学児童へのランドセルの現物支給について、この定例会を通じて本会議での議案質疑、その後に開かれた文教福祉委員会での審査を通じて、多くの質問がありました。また、さきの私の一般質問でも質問並びに事業内容の変更について提案をさせていただきました。私は、ランドセルの現物支給を秩父市が実施することに大きな疑問を感じ続けています。子育て支援のための事業であるならば、そもそもランドセルの現物支給こだわる必要はないと思います。また、ランドセルの購入といったそれぞれの児童の皆様やご家庭の皆様の趣向や思いが強く反映されて当然の領域について、秩父市が強く介入することは市に期待されていることなのか、強い疑問を持っています。
(注4)金崎議員の市長提案賛成意見