ニュース リモートワークのすべてがそろうサービスアパートメント「Anyplace Select」--米国で稼働率96%
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ホテルやコリングスペースなどを賃貸サービスとして貸し出す「Anyplace」が、2021年に開始したリモートワークに特化した新サービス「Anyplace Select」が好調だ。ローンチから7カ月で売上は約1億円を達成。稼働率は96%という好業績を維持している。 Anyplaceは、CEOである内藤聡氏が2015年、シリコンバレーで設立。現在、米国、欧州など世界60カ国で事業を展開している。Anyplace Selectは、Anyplaceを運営していく中から出てきたユーザーの声に応える形で事業化した。 「コロナ禍で働く環境は大きく変わった。リモートワークが当たり前になり、家でも仕事をする環境が求められるようになった。以前は『宿泊施設は寝るだけ』の場所だったので、我慢していたデスクの狭さやWi-Fiの遅さなどがどうしても気になる。私の友人の中にはステイ先にモニターを運び込んだ人もいた」と、急激に現れたリモートワークのニーズをいち早く掴む。 Anyplace Selectは、Anyplaceが借り上げた高級アパートメントなどに、家具、家電に加え、デスク、椅子、ディスプレイなどを設置し、リモートワーク特化型のサービスアパートメントに変更。広いデスクや長時間座っていても疲れにくい椅子などをそろえ、リモートワーク環境に最適化していることがポイントだ。30日から契約できる、マンスリー契約が可能だ。 「ノートパソコンだけ持ち込めば、すぐにでも快適なワークスペースを提供できることが特徴。コロナ禍で格段に増えたリモート会議にも対応できるよう、グリーンバックなども用意している」と、室内のワークスペースは完全に整っている。ディスプレイはもちろん、マイクやスピーカーなども完備。コロナ禍で自宅に買いそろえた人も多いであろうツール一式を用意する。 内藤氏は「リモートワークできる環境がほしい」というユーザーの声を受け、すぐに事業化を検討。自身で部屋を借りに行き、デスクや椅子などは、レビューなどを読み込み、一つずつ選定していったという。初の入居者は大手IT会社の社員。「オフィスよりも環境が良いと喜んでいただき、実はサービス開始から7カ月が経過しているが、現在でも住んでもらっている」と住心地の良さは入居者が証明している。 「実際に自分でデスクや椅子を選び、取捨選択をして改善していくうちに、現在の形ができあがった。私自身も現在Anyplace Selectのひと部屋に住んでいるが、体験してみてわかったのは一度使ったら戻れないということ(笑)」と試行錯誤の末、快適なワークスペースを作り上げた。 「最近、ワークスペースで使うツールや家具に対するアドバイスを求められるようになった。家具や家電は本当に自分にあっているのか、使うまでわからないもの。私たちの物件に滞在してもらうことで、体験の機会にもつながる。欲しいと思っている商品を試してもらう場としてのニーズもあるかなと考え始めた。数年前に日本に上陸した体験型店舗の『b8ta』のような場所を部屋として提供できるかもしれない」と新たなビジネスモデルも模索する。 直近での事業展開は「現在、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴで展開しているAnyplace Selectの部屋数をさらに増やしていくこと。ニーズも大変高いので、早急に対応していきたい。またニューヨークなどの都会から、ハワイなどバケーションができる場所へ広げていきたい」とワーケーションでの活用も見据える。 「リモートワークが当たり前になったことで、ワーケーションの需要も非常に高くなっている。しかし、リゾートホテルの一室で仕事しているとどうしても『本当に仕事しているの』と思われてしまったり、本人自身も罪悪感を抱いてしまいがち。Anyplace Selectであれば、ワークスペースをきちんと確保することで仕事、遊びの境界線を作りやすい」と、より過ごしやすいワーケーション環境を提案する。 コロナ禍で急増したリモートワークだが、内藤氏は「この動きはコロナ後も定着する。社員もリモートワークを希望している人が大半だし、会社側にもメリットは大きい。今までは会社の近くで採用しなければならなかったが、これからは世界中どこからでも優秀な人材を獲得できる」と米国の現状を話す。 現在、日本には進出していないAnyplace Selectだが、内藤氏は「状況が落ち着いてくれば、ぜひ日本でも展開したい。私たちのビジネスは物件ありき。リモートワークが一気に増えた日本でも必ず受け入れられるサービスなので、物件を提供してくださる不動産会社の方々と積極的につながっていきたい」と日本でのサービス展開にも前向きだ。
最終更新:CNET Japan