プロレス界にアプリ革命!「レッスル・ユニバース」プロデューサーが明かす秘話と情熱<上>
ノアの激闘(写真提供・プロレスリング・ノア)
IT大手「サイバーエージェント」が運営するプロレス事業会社「CyberFight」がプロレス動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE(レッスル・ユニバース)」の公式アプリの提供を開始した。 「CyberFight」はDDTプロレスリング、プロレスリング・ノア、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスの4団体を運営。国内のプロレス界では画期的な導入となる動画アプリでは、昨年10月のブラウザ版リニューアルから提供の高画質、日本語と英語の2か国語同時配信のコンテンツがさらに視聴しやすくなった。新機能としてChromecastに対応。アプリで再生した映像を接続することで、大型のテレビモニターで再生することが可能になった。 また、ライブ配信の視聴予約機能では、配信開始に合わせてアプリから通知が届くため、見逃すことなく視聴できる。加えて、フリックによるページ切り替え、動画再生中のダブルタップによるスキップ、全画面の切り替えなど、視聴体験が向上した。 「WEB報知」では、この公式アプリを制作した「CyberFight」のDX本部に所属する長沢成暁プロデューサー(31)を取材。「プロレス界にアプリ革命!『レッスル・ユニバース』プロデューサーが明かす秘話と情熱」と題し今回のアプリへの開発秘話、さらにプロレスへの情熱などを長沢プロデューサーが「公式アプリ」にかけた思いを今日から3日連続で連載する。1回目は「WRESTLE UNIVERSEリニューアル秘話」。(取材・構成 福留 崇広) いつでもどこでもスマートホンで試合動画が見られる動画アプリ。高画質、2か国語放送などの斬新な機能の導入には、まず動画配信サービス「レッスル・ユニバース」のリニューアル化があった。 「レッスル・ユニバース」は、もともとDDTの試合配信を行っていた「DDTユニバース」が前身で2020年5月12日に名称を変更し、ノア、東京女子など傘下の団体の試合視聴が可能になった。リニューアルが必要だった理由を長沢はこう明かす。 「サイバーエージェントでは、医療や小売のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化に取り組む流れに加え、エンターテイメントのDX化にも力を入れていて、そこからプロレスもDX化を進める動きがあったんです。その流れの中で旧レッスル・ユニバースも『プロレスのDX化」のために、世界中のどこからでも見られるようにリニューアルに着手しました。今後、DX化はレッスルユニバースだけでなく、公式サイトなども含めて、CyberFight全体として強化する動きに広げていきます」 リニューアルプロジェクトの開始は昨年4月だった。メンバーは長沢を筆頭にサーバーエンジニア、フロントエンジニア、デザイナーが中心の約5人。年齢は長沢が31歳でアプリデザイナーには年上もいるが25~26歳が中心の若さあふれるチームだ。この若さを武器にリニューアルへの移行を異例の速さで実行する。2か月後の6月にウェブ、動画配信を作り直し、サイバーファイトフェスティバルから動画配信部分のみ先行提供した。10月にウェブリニューアルプロジェクトを本格リリース。無料キャンペーンを実施し旧レッスル・ユニバースから会員移行を行ったのだ。 「通常は1年くらいかけてリリースするものなんですが、秋にノアのN―1、東京女子の大田区総合体育館とビッグマッチがあったので、このタイミングに合わせるためにプロジェクトがスタートしてから6か月で出しました」 リニューアルには3つの目玉がある。「まず第一に品質の向上です。品質というのは、主に動画の画質のことなんですが、これが業界トップじゃなかったんです。なので、画質を最高にしました。次が海外展開です。もともとのサービスには海外の方が見た時に英語実況が聴ける2か国語の音声実況の切り替え機能がなかったんです。これを全部作り替えたことで実現しました。最後はクリエイティブに力を入れました。これは、サムネイルやクリエイティブの部分を多く変えました。例えば、今までは対戦カードを並べただけだったんですが、映画のポスターのように選手たちを大きく出すようにしました。これは、今までの国内のプロレス業界にはなかったクリエイティブが実現しようとしている動きだと思っています」 中でも日本語と英語の多言語での同時動画配信は、「国内」プロレス業界で初となる画期的なサービスだった。リニューアルプロジェクトは順調に進み現在までに会員数も順調に伸びているという。ただ、長沢は、ここで止まらなかった。次の目標がアプリだった。 「10月にリニューアルして、英語対応も評価をいただけました。ただ、さらにより視聴体験を良くしていく必要があります。そのためにアプリはやらなくてはならないものでした。プロレス業界でこれほどの視聴体験を良くしたアプリは他にないと思っています」 こう明かすと長沢はアプリにかけた思いを話し始めた。(続く、敬称略)
報知新聞社