ゲームは昔の方が面白かった? 「急にゲームが楽しくなくなる病」の正体を探せ
急にゲームが楽しくなくなる病。とてもとても恐ろしい病気……のような何か。あんなにゲームが好きだったのに、ある頃からプッツリと糸が切れたかのように興味を失ってしまう。そんな人を見かけることがあります。いいんです、もしも他に楽しいことや、やりがいのあることを見つけたのであれば、それはそれで素晴らしいことです。人生の楽しみはゲームだけではありません。でも、時々聞くのは、昔のゲームは面白かったけど、最近のゲームはつまらない。本当にそうでしょうか?
ゲームがつまらなくなる理由にはいくつか考えられます。その理由を考えると、ゲームが楽しくなくなる病を治すヒントもあるかもしれません。
■昔の方がシンプルで面白かった病
昔のゲームはシンプルで、すぐ楽しめたけど、今のゲームはあまりに複雑でついていけない、そんな意見を耳にします。確かに、多くのゲームはシリーズを重ねるごとに新しい要素を取り入れていくため、複雑になっていく傾向にあります。自分が昔から遊んでいたシリーズが、いつかを境にちょっとついていけないと感じるようになれば、最近のゲームは難しすぎると思うのも無理はないでしょう。
しかし、ゲームがみんな複雑で、難しくなってしまったのかというと、もちろんそんなことはありません。例えば『UNDERTALE』(ニンテンドースイッチ/PS4/PS Vita/Xbox Series S/Xbox Series X/Xbox One/PC)はいかがでしょう? ドットで描かれたグラフィックは懐かしい雰囲気、少し奇妙で、なぜか優しい気持ちになれる世界。バトルは高度な戦略が要求……されることは全くなく、タイミングよくボタンを押したり、敵の攻撃を避けたりするだけでよいのです。もっと言えば、必ずしも戦わなくてもいい、相手のことをよく知って、困っていることを解決してあげて、逃がしてあげることもできます。シンプルで、懐かしくて、でも新しいRPGです。
パズルゲームが好きなら『進め!キノピオ隊長』(ニンテンドースイッチ/ニンテンドー3DS)もオススメです。3D空間の箱庭を探索するパズルアクション。キノピオを動かして縦横無尽に駆け巡る、わけではないんです。重たいリュックを背負ったキノピオ隊長はジャンプができません。そこで、トコトコあるいてマップの隅々まで探検、アイテムを探しながらゴールします。Aボタンで地面にあるものを引っこ抜いたり投げたりするアクションの他は、基本的には歩くだけ。ステージのギミックも画面タッチで使えたりして簡単です。もっとも、ゲームのつくりはシンプルですが、ステージのすべてのアイテムを集めたり、全部の敵を倒そうと思うと、なかなか手ごわい場面も。操作はシンプルながらやりごたえのあるアクションパズルになっています。
■時間がかかりすぎる病
ゲームをクリアするのに時間がかかりすぎる、という人もいます。実際のところ、1つのゲームのプレイ時間というのは、昔に比べれば相当に伸びているでしょう。クリアまで100時間かかるようなゲームだってそれほど珍しいとは言えませんし、インターネットが普及したことで、無料ダウンロードコンテンツなどが提供され、さらにゲームの寿命が伸びていきます。ひとつのゲームを数百時間遊ぶことも。
でも、10~20時間ぐらいでクリアまで遊べて、しっかりとした満足感のあるゲームもちゃんと残ってはいるんです。バイオハザードシリーズ最新作『バイオハザード ヴィレッジ』(PS5/PS4/Xbox Series X/Xbox One/PC)は、ストーリーをクリアするのにかかる時間がおおむね10時間前後。その10時間の中で、謎めいた村を舞台に、バイオハザードらしいサバイバルホラーがありつつ、派手なガンアクション、そして涙をこぼしたという人も多い衝撃と感動のストーリー。短い時間に楽しさがギュッと詰まった作品になっています。
短時間で濃厚な体験ができるゲームといえば、『デトロイト ビカム ヒューマン』(PS4)もいいでしょう。分岐するシナリオのすべてを観ようと思えば、かなりの時間を要しますが、はじめから終わりまで一通りのストーリーをクリアするのであれば15時間程度で可能なアドベンチャーゲームです。アンドロイドが労働力として使われる近未来、そのアンドロイドが自我を持ち始めたら……というストーリーで、3体のアンドロイドを主人公として、それぞれの話を行き来しながら進みます。アンドロイドに宿った自我とは、命とは。人間との対立、あるいは共存を描いたストーリーは、あなたの選択次第で大きく変わっていきます。おしまいまでは短い時間で遊べますし、気に入ったら、いろんな決断によって導かれる様々な結末を観るのもよいでしょう。
■画面がきれいになってもやってることはおんなじ病
ゲームにマンネリを感じている、という人もいます。ゲームハードは高性能化して、画面はどんどん綺麗になっていったけど、中身は全くおんなじでたいして変わらないから飽きてしまった、なんて意見を耳にすることがあるでしょう。人によって感じ方は違いますが、シリーズ作品などを考えた時には、遊びのコアとなる部分はそう大きくは変わらないかもしれません。
一方で、ここ10年程の間にも、新しいジャンルというのは生まれています。位置情報を使ったゲームは比較的新しい分野と言えるでしょう。任天堂とNianticがモバイル端末向けにリリースした『ピクミン ブルーム』は、通勤通学の徒歩や、お休みの日のお散歩を、ピクミン達とともに彩ってくれます。もはや歩数計に近いぐらい、ゲーム的な攻略要素は少ない作品ですが、少しのご褒美や目的をくれるだけで、歩くことが楽しくなるから不思議なものです。
『PUBG』(PS4/Xbox One)や『フォートナイト』(ニンテンドースイッチ/PS4/PS5/Xbox Series S/Xbox Series X/Xbox One/PC/モバイル)といった、バトルロワイヤルのゲームも、昔はありませんでした。今ではシューティングだけでなく、最大64人対戦の『スーパーボンバーマンR オンライン』(ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/Xbox Series X/Xbox One/PC)や、テトリスを99人で戦う『TETRIS 99』(ニンテンドースイッチ)など、様々なゲームが大人数の生き残りバトルで生まれ変わっています。
■自分にピッタリのゲームを探すのは難しくなったかも
今の時代、面白いゲームは山のように作られていますし、ゲーマーなら逆に、遊びたいゲームがありすぎて、自分が2人欲しいくらいかもしれません。ただ少し問題なのは、たくさんゲームがありすぎて、どれを遊んで良いかわからなくなっている人もいることです。探すのが大変になれば、遊んだことのあるシリーズや、みんながやっている超がつくような大作タイトルばかりプレイするという場面も増えるはず。そのうち「なんだか最近のゲームはすごく複雑でついていけないな」とか、「遊ぶのにすごく時間がかかって大変なゲームばっかりだ」なんて感想も出てくるのかもしれません。もしかしたらこれが、ゲームが急に楽しくなくなる病の正体ではないでしょうか。
もしあなたのまわりにそんなゲームが楽しくなくなる病にかかってしまった患者さんがいたら、ぜひ、もっとたくさんのゲームがあることを教えてあげてください。この病気の特効薬は、新鮮で面白いゲームなのです。
遊びたいゲームを探すのが難しいときは、ゲーム実況を観るのもいいかもしれません。有名配信者さんじゃなくても、好きなゲームのジャンルや、趣味が合う人がいれば、自分では見つけられない自分の好みのゲームが探せたりします。冒頭お話した通り、もし、もっと楽しいことや、やりたいことが見つかったのなら、それはそれでよいでしょう。世の中の楽しいことはゲームだけではありません。でも、本当はやりたいんだけど、最近面白いゲームってないんだよな、と思っている「急にゲームが楽しくなくなる病」であれば、治せるかもしれません。
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