コンパクトでもゲームをガッツリ楽しめる究極のミニPC【ゲーミングPCレビュー前編】
■ゲーミングPC並みの性能を備えたパワフルミニPC
ゲーミングPCの要素として、重要なポイントのひとつが放熱性能です。PCゲームでは“緻密な空間表現”や“滑らかなキャラクターの動き”といった豊かな映像表現が魅力ですが、その反面、CPUやGPU(グラフィックチップ)が極めて高温になるため、効率的に放熱できる設計が求められます。そのため、ゲーミングPCは本体サイズが大きくなりがちです。置き場所が確保できず、ゲーミングPCの導入を見送っているユーザーも少なくないのではないでしょうか。
そこで注目したいのが、ゲーミングPC並みの性能を備えながらも、一般的なデスクトップPCよりコンパクトなサイズを実現したサイコム社のBTOパソコン『Premium-Line Z690FD-Mini/D5』。ミドルタワーPCの約1/3程度のサイズの本体に、第12世代CoreシリーズやGeFoerce RTX 3060などを搭載したパワフルさが魅力のモデルです。前編ではサイズと性能をチェックしていきましょう(本記事は標準構成のモデルでレビューしています)。
超高性能をわずか16リットルに凝縮
本製品の特徴は、やはり“サイズ”です。PCケースには、スウェーデンに本社を構えるFractal Design社のEra ITXを採用していて、フットプリントは、幅が166ミリで奥行きが325ミリ。一般的デスクトップPC(ミドルタワーPC)に比べて約1/2程度の面積です。また、高さは310ミリと多くのミニタワーPCよりも小さく、リビングのテレビ横などにも置けるほどのサイズになっています。
ゲーミングPC並みのパフォーマンス
本製品に驚かされるのは、これだけコンパクトな筐体ながらも、ゲーミングPC並みのパフォーマンスを発揮できる点。CPUはCore i7-12700Kと、昨年10月末に発表されたばかりの新世代CPUをいち早く搭載。加えて、メモリーがDDR5規格、ストレージはPCI Express 4.0接続に対応と、データアクセスも現段階では最速な仕様を実現しています。
一方、グラフィック処理には、MSIのGeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OCを搭載。ミドルクラスのグラフィックボードですが、フルHD環境でゲームをプレイする程度なら、快適にプレイできるパフォーマンスを備えている実力派です。さっそく、ベンチマークテストで、本製品の実力をチェックしてみます。
まずは、PCゲームの中でも必要スペックのハードルが低い『ドラゴンクエストX オンライン』で小手調べ。テスト開始から終了まで、終始滑らかな動きで、結果は“すごく快適”でした。
次は必要スペックが中量級に位置する『ファイナルファンタジーXIV』のベンチマークソフトで、本製品の実力を本格的にチェック。全シーンにわたりキャラクターの動きや背景のスクロールは滑らかで、グラフィック処理で気になる点はありませんでした。一方、動作音はテスト後半の処理が重くなっているシーンで、グラフィックボードのファンノイズがハッキリと聞こえました。静音性を重視する場合は、解像度や画像品質を調整する必要がありそうです。
最後は、いわゆる重量級に属するゲーム『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』で、本製品をベンチマークテスト。最もパフォーマンスが求められる4K表示では、スクロールに微妙なカクツキが感じられ、グラフィック性能を限界まで使用している印象でした。
さて、ここまでは、本製品の最大の魅力と言える“コンパクトでハイパフォーマンス”という特徴をチェックしてきました。とはいえ、本製品の魅力は、サイズとパフォーマンスだけではありません。
本製品を構成しているパーツは、サイコム社が選び抜いた逸品ばかり。近日公開予定の後編では、同社のこだわりが凝縮された、本製品の内部をチェックしていきます。