“アフターコロナ”でPCニーズに変化の兆し NECが考える「ハイブリッドワーク」時代のビジネスPCとは?
社会環境が激変する中、多くの企業でテレワークをはじめとする働き方が浸透したが、こうした動きはコロナ禍に対する緊急対応としての在宅勤務だけでなく、サテライトオフィスやワーケーションといった、場所を問わず業務内容に応じて生産性高く働ける場所を従業員が能動的に選択する「ハイブリッドワーク」という新しいトレンドを生みつつある。
“働く場所”はもはやオフィスではなく、さまざまなSaaSを駆使したデジタルワークスペースへと姿を変え、オンラインシフトに対する企業投資も加速している。こうしたニューノーマル時代の企業ニーズを受けて、NECから薄型モバイルノートPC「VersaPro UltraLite タイプVC」が新登場した。今後のビジネスシーンにマッチするビジネスPCをNECはどう考え、形にしたのか。NEC プラットフォームソリューション事業部マネージャーの佐々木紀安氏と同事業部の柳生瑞希氏にその狙いを聞いた。
VersaPro UltraLite タイプVCの製品企画を担当した佐々木氏と柳生氏コロナ禍で在宅ワークやテレワークが浸透し、ビジネスノートPCの需要が急増したことは記憶に新しいが、オンライン会議やビジネスチャットツールを駆使した新しいワークスタイルが“当たり前の働き方”として常態化したことにより、企業が求めるPCの姿は変わりつつあるという。
「性能面よりは『とにかく持ち帰りできるPCがほしい』という時期は終わりました」と指摘するのは、今回の新製品を企画した佐々木氏だ。
「新型コロナが社会に大きな影を落とし始めた2020年当初、多くの企業は一時的な感染対策として在宅ワークに踏み切りました。これまでデスクトップPCを使っていたバックオフィス部門も含めた全従業員が対象になったことや、当時のCPU供給が逼迫していたこともあって、性能や携帯性はあまり考慮されずに『ノートPCであれば構わない』という声がコロナ禍初期のPC需要をけん引していました。
それが半年くらい続き、少しずつWithコロナの状況に慣れてきたころに、オフィスと自宅の往復ではやはり『できるだけ軽いモバイルPCがいい』ということで、企業が求めるPCニーズに最初の変化が現れました。コロナ禍を起因とするビジネス環境の変化が一時的なものではないということを企業が認識し始めたからだと思います」(佐々木氏)
そして今、企業が求めるPC像はさらに変化していると佐々木氏は話す。
「ユーザーの業種業態にかかわらず、携帯性の高いモバイルPCを中心に引き合いが強いのはこれまで通りでビジネスPCの販売は好調に推移しています。加えて、場所にしばられない新しい働き方が定着し、アフターコロナを見据えた“ハイブリッドワーク”の考え方が出てきたことで、より生産性を志向したPCを求めるユーザーの声が増えています。従来のモバイルPCでは足りない部分、もう一声ほしい部分が浮き彫りになってきたといえます。現在のビジネス環境下で従業員の生産性を上げるためにどんなIT投資が必要なのかといった方向へ経営層の意識も変わりはじめています」
こうした新たな企業ニーズを受けてNECが投入したのが「VersaPro UltraLite タイプVC」である。同社の法人PCブランド「VersaPro」の中でも、モバイル利用に特化した「UltraLite」の名を冠したシリーズで、質量1キロ(※最軽量時の質量、Mバッテリ搭載時)を切る薄型軽量ボディーが特長だ。
新VersaPro UltraLite タイプVCそして今回、NECがハイブリッドワーク向けビジネスPCの“解”として出した答えの1つは、AMDプラットフォームの採用だった。モビリティを重視して、質量は1キロを切るところに設定したい。しかし、場所に縛られない働き方が浸透する一方、業務の生産性を高める意識が強くなってきたことで、性能面に対する要求も大きくなっている。そこでAMDのRyzen APU(GPU統合型CPU)を選択したという。
柳生氏は「昨今はオンラインミーティング中に資料を投影したり、議事録を取ったり、同時に別のコミュニケーションツールを使ったりと、重いアプリケーションを使う機会が増えています。そこで旧VCで採用していた4コア/8スレッド動作の超省電力設計CPU(Core i5-10210Y)から、6コア/8スレッドでマルチタスキングに強いAMD Ryzen 5 5500Uに変更し、ハイブリッドワーク時にPCに求められるパフォーマンスを高いバランスでまとめています」とAMDを採用した狙いを語る。
柳生氏自身、入社後の研修から現在に至るまで在宅環境で業務を行っているネイティブハイブリッドワーク世代。出社しない働き方を当たり前と感じているが、一方でPCのパワーに対するニーズを実感しているという。「軽さを追求しただけではない今回の新VCは多くのビジネスパーソンの要求を満たしてくれるはず」と自信を見せる。
なお、マルチ性能に優れたAMD製CPUの採用に至った点について「導入担当者の中には、これまでと違ったCPUということで不安に感じる方もいるかもしれませんが、NECの品質基準を満たす堅牢性や耐久性、環境適応性を測るさまざま試験をパスしております」と佐々木氏。ビジネスPCメーカーとして長い歴史を持つ同社のお墨付きがあるなら安心だ。
ほかにもVersaPro UltraLite タイプVCには、ハイブリッドワークのための数々の機能が盛り込まれている。一目で分かるのが画面サイズだ。UltraLiteのコンセプトを継承しつつ、液晶ディスプレイは旧モデルの12.5型から13.3型に一回り大型化。スリムベゼルによって筐体一杯に画面が広がり、作業に没頭させてくれる。
画面がより広く、キーボードも打ちやすくなった新タイプVC「約971グラム(※最軽量時の質量)という圧倒的な軽量ボディーは維持しつつ、生産性に直結する画面の広さやキーボードにもこだわりました。オフィスやモバイルワークでハードウェアを使い分けるのではなく、さまざまな場面でタイプVC1台でカバーできる機能を、と考えた結果です。このため、部材の選定から設計を見直し、性能、モビリティ、堅牢性(MIL規格準拠)、生体認証(指紋・顔認証)によるセキュリティなど、ハイブリッドワークに求められる要件を全方位で満たすモデルになったと自負しています」(柳生氏)
このほか、ユーザーの声を反映した細かい機能も多い。例えば、オンラインミーティングではユーザーによって参加する環境が異なるため、エアコンなどの生活音が入ったり、ネットワーク環境が不安定になったりすることは珍しくない。
「日常的にWeb会議をするようなワークスタイルでは、ちょっとしたストレスでも作業効率を下げる要因になりかねません。そこでタイプVCでは、人によって異なる声の音量を均一化して出力したり、室内のノイズやタイピング音を除去して音をクリアに伝えるヤマハ製AudioEngineや、薄型ボディーに収納された有線LANポートを採用するなど、これまでWeb会議で感じていたちょっとした不満にも向き合いました。例えば、会議中に意図せずカメラがオンになってしまった、あるいはオンになっていないか不安、と考える方は多いと思います。これは仕事をする空間がプライベートに接近したことで生まれた問題ですが、タイプVCはカメラ部分にシャッターを付けることで、こうした“ハイブリッドワークあるある”問題にも配慮しています」
Web会議でよくある不満を解決働く場所や働き方を柔軟に変え、最も生産性の高いワークスタイルを能動的に選択するハイブリッドワークは、業務効率だけでなく、多様化する個人の価値観やワークライフバランスを認める企業の姿勢としても注目されている。
「ハイブリッドワークと一言でいっても、その環境は人によって大きく異なります。こうした多様な働き方を支えるために必要な性能や機能をこのタイプVCに盛り込みました。アフターコロナを見据えたこれからのハイブリッドワークの在り方をご検討中の方は、ぜひVersaPro UltraLite タイプVCに注目していただきたいと思います」(佐々木氏)
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