「実用に全振り」したのが潔い! 日立が「冷蔵庫の中身が見える機能」をシンプルな方法で体現
牛乳はこの前余計に買っちゃったからいいとして、今日は卵を忘れずに買って帰らないと……! 帰宅したら、冷蔵庫の前で入り切らない卵を手に、牛乳が切れていることに気が付いて呆然自失。「逆に覚えていたッ……!」。そんな経験ありませんか? え、ない? いやいや、結構あるんですよ! あとは、スーパーで買わなきゃいけないものが思い出せなかったり、気を利かせて買ったものが家族でかち合ったり。そんな人に知ってほしい「冷蔵庫カメラ」を搭載した冷蔵庫が、日立グローバルライフソリューションズから登場しました!
冷蔵庫の中をカメラで撮影し、スマホで確認できる
カメラを搭載した新製品は、中央の引き出しが冷凍室になっている「HXCCタイプ」と、中央が野菜室になっている「KXCCタイプ」です。
HXCCタイプは、定格内容積が617Lの「R-HXCC62S」と540Lの「R-HXCC54S」の2モデルで、KXCCタイプは498Lの「R-KXCC50S」の1モデルです。発売日は2月24日。実売予想価格はR-HXCC62Sが45万円前後、R-HXCC54Sが40万円前後、R-KXCC50Sが43万円前後(いずれも税込)となっています。
日立ではカメラ付きの冷蔵庫を開発するにあたり、大型冷蔵庫の購入者を対象にした意識調査を実施しています。冷蔵庫とスマホを連携させることで、「できたら良いのに」と思うことについての調査では、「外出先から、冷蔵庫の中身を画像で確認できる」がダントツ1位でした。これは、先述のようなケースも多い筆者としては大いに納得!
そこで、今回の新製品では、「冷蔵庫カメラ」を冷蔵庫の手前に飛び出た位置に配置。上から覗き込むような形で、冷蔵室のドアを開けたときに中を俯瞰できるように工夫されています。
撮影はドアを開けた時に自動で行われ、一度に冷蔵室の棚と左右のドアポケットの3か所をまとめて撮影します。ドアの片方だけを開けたときも撮影。この場合、開けていない方のドアを最後に開けた時の撮影データと合成して、庫内全体を写した画像として見られるようになっています。
ドア下部に手動撮影用のシャッターボタンもあり、任意のタイミングでシャッターを切ることも可能です。ドアをしばらく開けていた場合は、ある程度の時間ごとに自動で撮影が続き、なるべくドアを閉める前の最新の状態を記録するように動作します。この自動撮影の間隔は、後述のアプリ上で変更できます。
撮影画像はアプリ上で拡大が可能
撮影した画像データはドアを閉めた後で、コネクテッド機能によって数分のうちにスマホに送られます。ユーザーは無料の専用アプリ「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」上でこの画像を表示できます。「冷蔵庫の中身チェック」をタップして、表示したい室内を3か所の中から選択すれば、1枚ずつ画像が表示される仕組み。これでもう、スーパーの食品売り場で「冷蔵庫にあれってまだ残ってたっけ?」と悩まなくて済むわけですね! なお、利用にはインターネット接続環境と無線LANルーターが必要になります。
それぞれの画像は、画面上でピンチして拡大でき、過去の履歴も確認できます。過去履歴表示は撮影5回分。直近を含めると6回分ということになります。より過去の画像は自動的に消去され、上書きされていくので、もし写真を残したい場合は画面をキャプチャしておくと良いでしょう。
なお、カメラの位置が本体上部なので、陰になって見えない場所はどうしてもできてしまいます。冷蔵室最下部の「特鮮氷温ルーム」は映りませんし、野菜室や冷凍室も撮影できません。しかし、「買い足しで判断に悩みがちな食材をカメラに映る場所に置く」といった、使う人が工夫する余地があるとも言え、実際に運用し始めれば全部が映らなくても困らない気がします。
冷蔵庫カメラのレンズなどの性能は非公開。オンライン発表会で見た限りでは、商品の銘柄などはカメラの方を向けて置くようにすれば判別できそうですが、賞味期限まで判別するのは難しそうですね。ちなみに、もしカメラが故障した場合は訪問修理での対応になるとのこと。取り外してカメラのみのやり取りはNGになるそうです。
いまだからこその魅力! 割り切った態度が潔い
冷蔵庫の容量が500Lともなれば、高さは180cmを越え、冷蔵庫の上に何か載せる人はほとんどいないことでしょう。頭をぶつけたり、何かを引っ掛けてしまったりする人も少ないと思います。このため、「冷蔵庫カメラ」を邪魔に感じるケースはなさそう。とはいえ、扉の上からぴょこりとちょんまげのように伸びたカメラは、デザイン上、あまり格好良いとは言えません。ゲームで言う能力値を「実用」に全振りしたような、「割り切った印象」を受けます。それだけに実用性に魅力を覚える人には、かなり深いところにズブリと突き刺さるかも。
実は、冷蔵庫の中身をスマホから確認するアイデアは、各社ともコンセプトを温めています。庫内のあちこちにカメラと照明を付けたうえで結露対策すれば良いのですから、方法としては単純です。しかし、この方法ではコストがかさみますし、いずれ登場するとしてもまだ当分先になります。
そう考えると、本製品は実用性だけに割り切って冷蔵庫カメラを搭載したことにより、「未来を先取りした」と言えるでしょう。「いま」というタイミングが大きな魅力の1つになっていると考えると、案外、冷蔵庫の歴史に残るエポックメイキングな製品なのでは……と感じました。
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