3年ぶりの復活! Sペンとデュアルカメラで史上最強を目指した「Galaxy Note8」
サムスンはスマートフォンで世界トップシェアを持つメーカーだ。同社のシンボリックなモデル、フラッグシップモデルと言えば、「Galaxy S」シリーズであり、国内向けには2010年10月にNTTドコモから初代モデルが発売され、今年もNTTドコモとauから発売されたGalaxy S8/S8+が人気を得ている。
このGalaxy Sシリーズの二代目モデル「GALAXY S II」が登場した2011年。これをベースに、ペンを使ったユーザビリティによって、新しいスマートフォンの方向性を打ち出したのが「GALAXY Note」シリーズだ。2011年9月にグローバル向けに発表された初代モデルは、デジタルツールの象徴的な存在であるスマートフォンに、ペンによる手書き入力というアナログなアイテムの組み合わせが話題となった。これに加え、当時としてはかなり大画面の5.3インチSuperAMOLED(有機EL)ディスプレイに、2500mAhの着脱式大容量バッテリーを搭載したことで、スマートフォンをもっと積極的に使いたいユーザー層を中心に高い支持を得た。このGALAXY Noteの登場を機に、グローバル市場では大画面&大容量バッテリーのニーズが高くなり、現在の市場トレンドの火付け役的な存在となった。
一方、国内市場ではグローバル向けの初代モデルから半年後、2012年4月にNTTドコモから「GALAXY Note SC-05D」が発売された。基本的な仕様はグローバルモデルを継承しながら、グローバルモデルが未対応だったLTEにいち早く対応し、日本仕様のワンセグも搭載するなど、日本市場向けにしっかりとカスタマイズされた製品としてリリースされた。その後、2012年11月には二代目モデルの「GALAXY Note II SC-02E」(NTTドコモ)ではおサイフケータイに対応し、2013年10月に発売された三代目モデルではNTTドコモから「GALAXY Note 3 SC-01F」、auから「GALAXY Note 3 SCL22」が発売された。
Galaxy Sシリーズのように、グローバルモデルをほぼ同じ時期に日本市場向けに供給するというサイクルが転換期を迎えたのが、2014年10月に発売された四代目モデルの「GALAXY Note Edge SC-01G」(NTTドコモ)と「GALAXY Note Edge SCL24」(au)だ。GALAXY Note Edgeは有機ELディスプレイの側面を曲げた「エッジスクリーン」を初めて搭載し、注目を集めたが、グローバルモデルで同時発表されたフラットスクリーンの「GALAXY Note 4」は国内投入が見送られた。このとき、独特な形状のエッジスクリーンを敬遠し、GALAXY Note IIやGALAXY Note 3のまま、使い続けていたユーザーもいたと言われている。
2014年10月発売の「GALAXY Note Edge」(左)以来、3年ぶりの復活となった「Galaxy Note8」(右)GALAXY Note Edgeに対する賛否両論の評価の影響もあってか、2015年8月にグローバル向けに発表された「Galaxy Note 5」は、日本市場への投入が見送られてしまう。Galaxy Note 5は同年に発売された「Galaxy S6 edge+」(Galaxy S6 edgeの大画面モデル)の兄弟モデルという位置付けで、デザイン的にも新しいGalaxy Noteシリーズの方向性を打ち出したモデルとして注目されたが、残念ながら、日本では発売されず、この判断が結果的にGalaxy Noteシリーズの空白期を生むことになった。ちなみに、後に関係者からは「あのとき、無理をしてでもGalaxy Note 5を出すべきだった」と悔恨の思いを何度となく、聞かされた。
そして、記憶に新しいのが昨年8月に発表された「Galaxy Note7」だ。前年のGalaxy Note 5、同年に発売されたGalaxy S7 edgeなどのデザインを一新し、Galaxy Noteシリーズの原点であるペンによるユーザビリティを再構築したモデルとして開発された。米国・ニューヨークで開催された発表会に参加した筆者は、いち早く実機を試し、その完成度の高さから、国内での発売に期待を寄せていたが、残念ながら、発売直後に発火トラブルを相次いで起こし、全世界的なリコールとなり、販売中止となってしまった。国内ではNTTドコモとauからの発売が確実視され、両社とも準備を進めていたとされるが、グローバルでのリコールにより、発表が見送られ、両社とも秋冬モデルの販売戦略を大きく変更せざるを得なかったという。その後、サムスンは今年1月に発火問題の原因がバッテリーの不具合に基づくものであるという調査結果を発表し、再発防止策として、今後は「8-Point Battery Safety Check(8項目のバッテリー安全性試験)」を導入し、安全性に万全を期すとした。
こうした流れを受け、今年8月に米国・ニューヨークで行なわれた「Galaxy Unpacked 2017」でグローバル向けに発表されたのが「Galaxy Note8」になる。発表当時の内容は速報記事や発表会レポート、ファーストインプレッションでもお伝えしたが、なかでもオープニングで流れたGalaxy Noteシリーズを愛して止まないユーザーたちのアツいコメントと映像は、まさにGalaxy Noteシリーズが初代モデルから積み重ねてきたユーザーの思いと愛に満ちあふれた内容で、会場で取材をしていたメディア関係者も「ちょっとウルッと来てしまった」と話すほどのものだった。
そして、いよいよ10月には日本市場向けに、NTTドコモから「Galaxy Note8 SC-01K」、auから「Galaxy Note8 SCV37」として、発売された。前述のように、国内では2014年のGALAXY Note Edge以来、3年ぶりの新モデルであり、復活を待ち望んでいたユーザーも多い。実は、Galaxy Noteシリーズを愛用するユーザーは業界内でも非常に多く、本誌でもおなじみのライター諸氏や各誌の編集担当をはじめ、各携帯電話事業者の役員や業界関係者もGalaxy Noteシリーズを愛用していて、今回の復活を心待ちにしていた人がいる。米国での発表当時のファーストインプレッションでは、「帰ってきた“愛されるスマホ”~」と評したが、日本にも同じ思いのユーザーが数多くいるはずだ。