キヤノンITS、2025年に売上高1.5倍を目指す 「ビジネス共創モデル」など3つの事業モデルを展開
キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は13日、2025年の経営目標として、2021年比で売上高1.5倍、サービス提供モデル売上高2倍、ビジネス共創人材5倍を掲げた。
あわせて、3つの事業モデルとして「ビジネス共創モデル」「システムインテグレーションモデル」「サービス提供モデル」を展開。2025年に向けた注力事業として、「企業のデジタライゼーション」「開発革新」「デジタルデータの利活用」に取り組む考えを示した。
同社では2020年に、長期ビジョン「VISION2025」を策定。そのなかで、「先進ICTと元気な社員で未来を拓く“共想共創カンパニー”」を目指す方針を打ち出している。
キヤノンITSの金澤明社長は、「3つの事業モデルの強化を通じて、利益ある成長拡大を果たし、将来への投資を潤沢に行う盤石な収益基盤体質の確立を目指す」と述べた。また、「共想共創カンパニーは、エンゲージメント経営によって、経営基盤を強化しながら、より技術を磨き、より社員を元気にして、お客さまや社会の未来を開くとともに、お客さまと一緒に考え、共にビジネスをつくり出せるような会社であり続けたいという想いを込めたメッセージである。社員が自慢できる会社、さまざまなお客さまが真っ先に相談したい会社になることを目指す」と述べた。
共想共創カンパニーとはキヤノンITS 代表取締役社長の金澤明氏金澤社長は、3つの事業モデルの方針について、次のように述べた。
「ビジネス共創モデル」は、顧客のビジョンや経営戦略などの想いを起点に、ビジネス戦略をIT戦略に継承させ、実現手段を含めたビジネスデザインやITグランドデザインを共に作り上げる事業モデルだという。
「従来のビジネスで育ってきたコンサルタントや技術者だけでは実現できない事業モデルであり、独自の人材モデルであるビジネス共創スペシャリストを活用し、開発経験や技術力だけでなく、知恵や創造力まで提供し、お客さまのビジネス創出に伴走。なくてはならない存在、真っ先に相談したくなる存在を目指す。これからのビジネス活動のなかで、ビジネスの姿をしっかりと具体化していく」と述べた。
ビジネス共創モデル「システムインテグレーションモデル」については、お客さまの強みを際立たせるゴールを共に想い、固有の課題を理解して、構想、企画から開発、構築、運用まで、ニーズに合わせた最適な仕組み、システムを提供するモデルと説明。
「これまでのように、システム要件から最適なシステム構築や運用につなげるSIビジネスではなく、お客さまを想い、お客さまの課題に先着し、最適なシステムを利用してもらうことを目指す。しっかりとしたシステムを作り上げる技術力や、プロジェクトマネジメント力の強みを生かし、ITパートナーとして、お客さまの価値を高めるためのソリューションを、お客さまと共に作り上げる事業モデルの確立に取り組む」などとした。
システムインテグレーションモデル「サービス提供モデル」に関しては、「日本や世界の社会課題に想いをはせることを目指す」とし、業界や業種、業務に共通した課題に対するソリューションをICTサービスとして提供し、継続的な利用提案を進める事業モデルと説明した。
「法規制への対応や顧客分析力の向上、製造原価の見える化など、業界、業種に共通した課題は多岐にわたる。多様な開発経験の中ではぐくんだ業務、業種のノウハウや、SI事業の課題解決で培ったソリューション創出力を最大限に生かし、ビジネス成長と社会貢献につなげたい」と述べている。
また、「3つの事業モデルは、それぞれ独立しているのではなく、相互に関係することで、お客さまへの提供価値を拡大させる」とも位置づけた。
サービス提供モデル3つの事業モデルの成長に向けた人財投資についても説明。ビジネス共創モデル確立のための人財育成を行う「共想共創塾」を設置。2025年までにビジネス共創人財を、2021年比で5倍に増やすほか、システムインテグレーションモデルでは、SEの高度IT人財育成を進め、陣容を1.1倍に拡大。また、サービス提供モデルへの転換のために、サービス創造人財を1.5倍に増加するとともに、サービス事業創出とそのための風土醸成を行う。
「パートナーとのエンゲージメント活動を通して、人財の質と量の拡充も進めている。開発パートナー戦略の活性化や技術者認定制度を活用し、重点領域での人財育成に力を入れる」とした。
さらに、R&D本部によるソフトウェア技術や数理技術、言語処理技術に加えて、各事業部門がノウハウを生かした映像解析技術やクラウド関連技術を展開し、さまざまな製品に組み込んだ課題解決提案が推進していることも示した。言語処理技術および映像処理技術を活用して、Brainシリーズを製品化。AI OCRペーパーレス「Capture Brain」、類似文書検索サービス「Discovery Brain」、遠隔業務支援サービス「Visual Brain」を市場投入したという。