ニュース 日本勢が強すぎる車いすテニス。スポンサーやルールなどをあらためて紹介【テニス】
車いすテニスのルールは一般のテニスとほとんど同じ
車いすテニス競技で数々の成績を残している国枝慎吾と上地結衣(写真:田沼武男)
先日行われた東京パラリンピックにおいて、日本勢が男女ともに素晴らしい成績を残した車いすテニス。これまでに増して注目度が高まっている。車いすテニスのルールやカテゴリー、車いすテニスのスターの背景やスポンサーなどを紹介する。【画像】連戦のため食事中やや疲れた表情を見せた国枝慎吾車いすテニスのルールは、普段私たちが見慣れている一般のテニスのルールとそれほど変わりはない。ルールの違いについては主に以下の2つである。(1) 一般的なルールでは1バウンドまでに返球しなければならないが、車いすテニスでは2バウンドまで認められている。1バウンド目がコートに入っていれば、2バウンド目はコート外でもいい。(2) サーブの前は静止しなければならないが、サーバーのみ車いすをワンプッシュ(一漕ぎ)することが可能あれだけ広いテニスコートの中を車いすで自在に動き回り返球するのだから、当然、車いすの操作も重要となる。先日オリンピックで金メダルを取った国枝慎吾(ユニクロ/世界ランク1位)は、子どものころ健常者の子どもたちとともに車いすでバスケットボールに夢中になっており、このことが車いす操作の滑らかさに磨きをかけたと言われている。車いすテニスのカテゴリーには一般のテニス同様、男女の別、ジュニアの部があるが、その他に「クアード」と呼ばれる四肢麻痺の選手が出場するカテゴリーがある。このカテゴリーではラケットをテーピングで手に固定することが認められている。また、体調管理にも徹底したケアが行われている。●車いすテニスの選手を支えるスポンサー企業は多い! 国枝、上地のスポンサーは!?車いすテニスの選手には、多くのスポンサーがサポートを行っている。数々のテニスプレーヤーのスポンサーをしてきたユニクロが最初に「ユニクロ グローバルブランドアンバサダー」として2009年に契約したのが、車いすテニス選手の国枝だった。錦織圭(日清食品/同54位)のスポンサーは2011年から始めているため、国枝のほうが先に契約していたことになる。〈国枝慎吾のスポンサー〉ユニクロ、ホンダ、BNYメロン(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)、ANA(全日空)、NECなどがスポンサーとして国枝の活動をサポートしている。その他テニス関連では、大坂なおみ(日清食品/同5位)と同じヨネックスやIMGと契約している。〈上地結衣のスポンサー〉生まれつき障がいを持っていた上地結衣(三井住友銀行/世界ランク2位)は11歳で車いすテニスを始めた。上地にとってスポンサー第一号は、彼女の母親が勤務していた神戸の「シィメス」というガス事業会社だったという。現在は、三井住友銀行所属の上地。JAL(日本航空)やコカ・コーラ、エアウイーヴなども上地の活動をサポートしている。テニス関連では、FILAやダンロップと契約している。車いすテニスという、スポーツ全体の発展をサポートしている企業もある。例えばNECは、1994年から締結している、国際テニス連盟(ITF)主催の「NEC車いすシングルスマスターズ」および「ユニクロ車いすテニスツアー」のスポンサー契約を、2021年から2023年まで3年間継続すると発表した。また、2009年に国枝がプロになった時点から、継続してサポートしてきたユニクロ。ユニクロを展開するファーストリテイリングは、国枝の東京パラリンピックでの活躍に対し、特別報奨金として1億円を贈呈すると発表。また同社は、将来パラスポーツを目指す子どもたちへの支援も行っていくとしている。一般の男子テニスにおける世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア/同1位)は、東京オリンピックでの金メダルを逃した。そのため年間グランドスラムとなる4大大会制覇にオリンピック制覇を加えた「ゴールデングランドスラム」をかなえる夢は一度、途絶えてしまった。ジョコビッチは当然パリオリンピックを狙いにいくと思われるが、国枝に関しても、まだこのゴールデンスラムを狙える状況である。世界的なプレーヤーを擁する日本。東京パラリンピックをきっかけに、さらに車いすテニスが発展していくことが望まれる。
山根ゆずか