日本HP、テレワーク時代を迎えたIT部門の課題を解決する2つのサービス
日本HPは3月17日、法人向けPCとディスプレイの新製品、および企業のIT管理者に向けた新サービスの発表会を実施した。新サービスはいずれも社員のPCを遠隔から管理するためのもので、無償の「HP Smart Support」と、有償の「HP Active Care」という2つ。ここでは新サービスの紹介を中心にレポートする。
世界中でビジネスマンの働き方が変わった
日本HP パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は、新サービスを展開する背景として、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によってビジネスマンの働き方が後戻りできない形で大きく変わってきたと、データを交えて語った。
特にクリエイターやパワーユーザーの80%は、新型コロナが収束しても在宅勤務の継続を望んでおり、PCを利用したバーチャルミーティング(ビデオ会議)を好むユーザーも41%と、オンライン化のニーズが急速に高まった。
企業はこの変化への対応を迫られており、2021年のIT予算を増加もしくは前年並みとした企業は86%にのぼる。今後、IT支出を増やす分野として、クラウドやネットワークセキュリティなどが重視されていることも分かってきた。
企業のIT管理部門にとった重要な役割であるデバイス管理、安全性の確保、最適なサポートといった業務は、従業員がデバイスをより扱いやすくし、デバイスのダウンタイムを低減して生産性向上を図り、企業全体の効率化に貢献することが最大の目的だ。多くの企業で従業員の在宅勤務が行われるようになってきたことで、IT管理部門はこの役割を、いかにリモートでより効率的に行うかが課題になってきたと言える。
IT管理部門の課題解決に向けた2つのソリューション
日本HPが今回提供する2つのサービスは、この課題解決に向けたソリューション。従業員のPCに問題が発生したときのサポート短縮を実現する「HP Smart Support」と、PCに起こりうるトラブルを未然に防ぎ、デバイスの稼働状態を維持する「HP Active Care」となる。
日本HPには既存のサービスとして、遠隔地で測定したデバイス情報をコールセンターに集めて管理するテレメトリーを安全に行い、分析とディープラーニングを適用する「HP TechPulse(テックパルス)」プラットフォームがある。
簡単に言うとユーザーデバイスの状態をデータとして集めてくるものだ。デバイスの使用時間、アプリケーションの状態、セキュリティの設定、製品保証の状態、ブルースクリーン発生時の状態といった情報を集積して、AIを通じて活用していく。
この分析プラットフォームによって、実用的な洞察をIT管理部門に届ける洞察主導型サービスの提供が可能となっている。
今回発表となったHP Smart SupportとHP Active Careの2つのサービスは、このHP TechPulseプラットフォームを活用したもの。迅速な問題解決によってユーザーの生産性向上を支援する。
まずHP Smart Supportは、日本HPの法人向けWindows 10 PCに追加費用なしで提供する無償のサポート。HPのサポート窓口の担当者が、ユーザーのデバイスをテレメトリー情報に基づいて分析し、ハードウェアの診断や問題の特定を迅速に行う。問題発生から解決までのダウンタイムの短縮を図る。HP Smart Supportに必要な「HP Smart Healthアプリケーション」は、同社のWebサイトから5月以降ダウンロード可能となる予定。
もうひとつのHP Active Careは、HP TechPulseが自動収集したデータをAIによって分析。PCのトラブルを未然に防いで稼働状態を維持するサービスで、既存のHP Care Packの上位版となる内容だ。
このサービスでは、デバイス状況の予測分析、予測アラート、サポートケースの自動作成、365日のリモートサポート、翌営業日のオンサイト対応を組み合わせて提供。具体的には、ハードディスクやバッテリーなどの故障の兆候を調べて、異常を検知すると、実際にトラブルが発生する前に問題を特定して通知する。
従来はトラブルが発生してから、日本HPのサポートコールに連絡して対応の依頼という手順を踏む必要があった。対して新サービスのHP Active Careでは、AIが故障の予測を検出したときに、日本HPへのサポートコールなしで自動かつ速やかに修理を依頼するので、業務への影響が少ないタイミングでの予防交換が可能になる。
HP Active Careは3月18日から提供を開始。価格は1デバイスあたり3,850円(税込、3年間保証)となる。
在宅中心のビジネスマン向けノートPCやプレミアム液晶ディスプレイも発表
法人向けPCの新製品は、14型ノートPC「HP EliteBook 840 Aero G8」と、13.5型2in1 PC「HP Elite Folio」となる。HP EliteBook 840 Aero G8は、在宅勤務が中心で週に何度か出社する働き方のビジネスマン向けモデル。HP Elite Folioは、プロセッサにQualcomm Snapdragon 8cx Gen2を搭載した長時間バッテリー駆動のデタッチャブル2in1モデルとなっている。
モバイルワークステーションのZBookシリーズは、14型「HP ZBook Firefly 14 inch G8」と、15.6型「HP ZBook Firefly 15.6 inch G8」だ。薄型軽量のノートPCながら、ワークステーションとしてのハイパフォーマンスを備えている。
プレミアム液晶ディスプレイは「HP Z Display G3」シリーズ。いずれも最大100W給電対応のUSB Type-C端子を搭載し、HP ZBook Firefly G8などを直接つないで、外部ディスプレイ出力と給電を同時に行える。DisplayPortを使用したディジーチェーンによるマルチディスプレイ表示も可能だ。