2007年から15年の間のパソコン市場動向
パソコン 販売台数指数
ノート、デスクトップ、タブレット端末を合わせたパソコン(以下、PC)市場を2007年から15年にわたる販売台数指数と平均単価の動きを、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で振り返ってみた。 07年のPC全体の販売台数を「100.0」とした指数を算出し、市場規模の推移を追っていく。市場の約4分の3をノートが、残りをデスクトップが占めていた。07年には、タブレット端末はまだ登場していなかった。08年には「100円PC」の登場により、台数指数は「113.0」へと拡大した。09年にはWindows 7がリリースされたものの、Windows XPを搭載したロースペックの安価なネットブックがノートの販売台数を押し上げ、市場におけるノートの存在が大きくなった。 10年5月の初代iPad発売で市場規模は拡大、12年には初代NexusやiPad miniといった7インチ台の小型タブレット端末が登場により市場は更に拡大する。13年以降になるとタブレット端末の存在感が増し、ノートの販売台数は減少。14年の指数はタブレット端末の販売台数増が大きく貢献し、指数は「178.4」とピークに達した。しかし、その後スマートフォンの台頭やPCの耐用年数長期化などをきっかけに市場規模は右肩下がりで推移し、18年には「114.1」まで縮小。19年は税率8%から10%への消費増税前の駆け込み需要、20年はWindows 7のサポート終了による買い替え需要やコロナ禍特需により再び指数は拡大傾向に転じたが、21年は「128.7」と前年を下回る水準にとどまった。 次に平均単価の動きをみていく。07年はノート、デスクトップともに13万円台だった。08年の「100円PC」の登場をきっかけに平均単価は急落し、ノートは09年、デスクトップは11年に10万円を下回るが、12年まで下落が続き、ノートは6万9900円、デスクトップは8万3400円まで平均単価は下がった。12年10月のWindows 8搭載PC登場により平均単価が右肩上がりに転じた。デスクトップは14年に10万円台に達したが、ノートは14年から18年にかけて9万円台で推移、19年にようやく10万円台まで戻した。 一方、タブレット端末も小型タブレット端末の登場などにより平均単価が下落し、4年間で2万円近く下落し3万3100円。18年まで3万円台で推移していたが、19年から4万円台に回復。平均単価が上昇した時期は、Huawei Technologiesがアメリカの制裁によりシェアを落としていった時期と重なる。 この15年間で日本のPCメーカーは、吸収合併や分社化といった目まぐるしい動きをみせた。まずNECがレノボと合弁会社を設立、富士通もレノボの傘下に収まる。ソニーはVAIOへと事業譲渡、東芝も東芝クライアントソリューションに事業継承するも最終的には鴻海傘下のシャープに買収されるなど色々なことが起こった。現状では半導体を始めとする、様々な部材の需給バランスが崩れており、厳しい状況はまだ続くだろう。また、部材不足を背景に製品価格が上昇していることから、平均単価は15年前の水準まで戻る可能性もある。*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。