CLOMO 導入事例シリーズ 琉球銀行
株式会社琉球銀行
「地域の金融インフラを支える存在として、円滑な資金供給と金融サービスを提供する」とのミッションを掲げ、長い間、沖縄のリーディングバンクとして地域経済の発展に貢献。カード事業にも注力するなど、早い時期からキャッシュレス化への取り組みを進めてきた。「風通しの良い企業文化」に定評があり、デジタル活用にも積極的。
営業店の価値と存在意義の再構築を目指しタブレットを活用したシステムを構築
株式会社琉球銀行事業統括部 事務企画課FTBプロジェクト調査役松原 弘樹 氏沖縄の地域経済の発展を支えてきた琉球銀行は、新たなサービスやビジネスづくりにも積極的に取り組む一方、DX戦略にも注力している。デジタル活用の最新事例の1つが、全営業店への「FTB(Flexible & Traditional Bank)タブレットシステム」の導入だ。
「ネットバンキングやATMなどにより、お客様は来店しなくても一定のサービスを受けられます。わざわざ店舗に足を運んでくださるお客様に対して、付加価値のあるサービスを提供したい。同時に、営業店の業務改革を推進するために、FTBタブレットシステム構築のプロジェクトがスタートしました」。そう語るのは、琉球銀行の松原弘樹氏である。「最終的なゴールは営業店の価値と存在意義を再構築することです」
営業店に置くタブレットを通じて、様々な事務処理のデジタル化、見える化を推進。業務効率の大幅な向上を目指した。タブレットで取り扱う業務は普通預金開設、デビットカードやインターネットバンキングの新規申し込み、氏名や住所の変更など多岐にわたる。これらは従来、営業店窓口で人手によって処理していた業務である。
2019年6月にプロジェクトが始まり、2021年8月に全営業店(57店)への導入を完了した。配布されたタブレットは584台に上る。
「FTBタブレットシステムは既存のパッケージ製品を利用するのではなく、当行の業務のために新たに開発したものです。他行システムの視察もしましたが、世の中にあるシステムで、自分たちのやりたいことはできないとの結論に至りました」と松原氏は振り返る。
チーム全員でプロジェクトを推進全営業店へのタブレット配布を完了
ITベンダーなどを含め、開発チームは総勢120名規模になった。
「当行内では企画部門や各業務の有識者を集めてチームを組織しました。ITに詳しい人を集めたわけではなく、不足する専門スキルは外部調達により補いました。IT側のメンバーと意見が合わないこともあり苦労しましたが、粘り強く意思疎通を図りつつ困難を乗り越えることができました」と松原氏は振り返る。
業務側メンバーは沖縄、IT側メンバーは首都圏に分かれるというプロジェクト体制だったが、ビデオ会議などを多用しながら、緊密なコミュニケーションを維持した。また、必要に応じて互いに拠点を行き来して、プロジェクト方針などの共有を図ったという。
「前例のない中で、ゼロから開発したシステムです。みんなが汗をかいた分、完成したときの喜びも大きかったですね」(松原氏)
FTBタブレットシステムの特長は次のようなものだ。まず、窓口の行員用とは別に、受付専用タブレットを設置したこと。来店した顧客のキャッシュカードや通帳を読み取るとともに、希望する取引やサービスなどを選んでもらう。その瞬間、営業店は「誰が、何のために来店したのか」を知ることができる。従来は窓口対応の中で把握した情報を、その前段階で入手することで業務の流れがスムーズかつスピーディーになる。
また、徹底的なペーパーレス化にもこだわった。従来業務には各種伝票や紙の書類がつきものだったが、できるだけシステム内で完結するような仕組みにした。
FTBタブレットシステムは勘定系システムと直結させたほか、他システムとも連携している。これにより、人手による介在を最小化しつつ、業務プロセスの効率的な流れをつくることができた。
FTBタブレットシステムは琉球銀行のペーパーレス化、省力化に大きく貢献しているセキュリティ対策からMDMは必須使いやすさやサポートへの評価で「CLOMO MDM」に決定
株式会社リウコム金融ソリューション部串田 純一 氏営業店では、窓口の行員がタブレットを手に顧客の手続きや事務処理を行っている。行員が店内ロビーの顧客の元に出向いて、タブレットを操作することも可能だ。システムのセキュリティ対策について琉球銀行の友好会社であるリウコムの串田純一氏は次のように説明する。
「FTBタブレットシステムは勘定系システムとつながっており、当然、高いセキュリティが求められます。また、タブレットをワイヤーロックなどで固定するのではなく、自由度の高い運用を前提にシステムを構築しました。紛失や盗難などのリスクにも備えなければなりません」。リモートロックやデータ消去が行えるMDMは必須だった。
こうしたセキュリティ対策を実現するMDMソリューションとして、琉球銀行が採用したのが「CLOMO MDM」である。
「ネットなどで情報収集を行いましたが、専門的な部分について分からないこともあり、実際に使っている人の話を聞くことにしました」(松原氏)。ちょうど、琉球銀行の他部署でiPhone用にCLOMO MDMを活用しておりリサーチしたところ、「使いやすさや充実したサポートを評価する声が多かったのです。プロジェクトとしてその声を重要視し、CLOMO MDMの導入を決定しました」と松原氏は話す。
リモートでの更新で生産性アップCSだけでなくESも向上
全営業店にFTBタブレットシステムが導入されてからまだ間もない段階だが、すでに効果は現れている。「事務処理時間半減という目標を掲げていましたが、それを上回る57~58%の事務処理時間の削減を達成。年間ではトータル6万時間の削減が見込まれており、これは、40~50名の業務量に相当します。また、お客様が来店するとすぐにお名前や来店目的が分かるので、FTBタブレットシステムを導入したことによって、導入前よりきめ細かなサービスが可能になりました」(松原氏)
CS(顧客満足度)向上に加えて、ES(従業員満足度)向上の効果もあったと、松原氏は次のように続ける。
「属人化していた業務がシステム化されることで、誰でも標準的な業務ができるようになりました。特に、新たに営業店に配属される行員、産休・育休から復帰した行員などに好評です」
また、運用面での効果を串田氏は指摘する。「タブレットに搭載したアプリについては、年に1度証明書の更新が必要です。MDMを導入していなければ、担当者が営業店を回ってその作業を行わなければなりません。CLOMO MDMを活用することで、リモートでアプリ配布が可能です。離島の営業店も多いだけに、生産性向上に非常に役立っています」
営業店に配布したタブレットは、琉球銀行と顧客との距離を近づけている。新規開設した営業店では窓口カウンターを減らして、行員が顧客と肩を並べてサービス提供する方向に移行しつつあるという。琉球銀行は業務改革とともに、営業スタイルも進化させようとしている。
段階的な導入に適したCLOMO MDMのライセンス提供
株式会社アイキューブドシステムズカスタマーサクセス本部カスタマーサクセス課課長石村 桂一 氏琉球銀行様には以前から、iPhone向けに「CLOMO MDM」を利用いただいていました。当社はアフターフォローという形で定期的にお客様訪問を行っていますが、2019年8月に琉球銀行様を訪問した際に「タブレットを使った新システムを考えている」といったお話を伺いました。その際「CLOMO MDMなら、こういう使い方ができます」という提案をさせていただきました。
FTBタブレットシステムは、ある程度の時間をかけ、段階的に営業店に導入されました。CLOMO MDMのライセンスは一括購入が必須ではなく、必要に応じて購入することができるので、その点でも本プロジェクトに適していたのではないかと思います。
CLOMO MDMは、徐々に導入が拡大したタブレットを、総合的に管理できます。今回の事例は、CLOMO MDMのサービスを十分に活用いただいている事例といえるのではないでしょうか。
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