マイクロソフトの2画面端末「Surface Duo」のコンセプトは魅力的だが、課題が山積している:製品レヴュー
通知バーが作動しない、一部のアプリがフリーズする、カメラが切り替わり続ける──。これはマイクロソフトの新しい2画面端末「Surface Duo」をテストしていた期間に、書きとめていたメモの一部である。2週間のテスト期間中、あまりに多くのバグに遭遇したので、混乱しないように書きとめておかねばならなくなったのだ。
ほかのレヴュワーと『WIRED』US版からのフィードバックが耳に入ったのか、マイクロソフトは予定を数日早めて端末をアップデートした。更新後のソフトウェアは以前より安定するようになったものの、たくさんのバグと予測できない反応は残っていた。大きな不具合が解消されても、「Duo」の使用にはいまだにいらだちがつきまとう。
画面がふたつあることが問題なのではない。それどころか、ふたつの画面の出来は素晴らしい。PCのディスプレイをふたつ同時に使ったことはあるだろうか。一度使ってみると、ひとつだけのディスプレイに戻ることは難しくなる。ここでもそれは同じだ。
しかし、携帯端末によるマルチタスクという魅力をDuoから奪っているのは、誤作動の多いソフトウェアである。そのおかげで、1,400ドル(約14万6,500円)するこのスマートフォンは、開発途中であるように感じられる。マイクロソフトはこれをスマートフォンとは呼びたがらないが、Duoはやはりスマートフォンであり、スマートフォンとしてはいくつかの重要な領域で基準に達していない。
マイクロソフトにとって特別な端末
「Surface Duo」は、2画面を採用した初のスマートフォンではない。しかし、各社がさまざまなスマートフォンのデザインを試している時期に登場した。
例えばサムスンとモトローラは、特徴的な形とサイズの折り畳みスマートフォンを販売している。ところがマイクロソフトは、この新たな(そして繊細な)折り畳みガラスというテクノロジーに足並みを揃えず、生産性に寄与することを同社が期待する2画面というアプローチに大きく賭けている。マイクロソフトはさらに、21年に2画面のWindowsノートPCの展開も計画している。
Duoをさらに特別なものにしているのは、マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を傘下に収めて以来、久しぶりにAndroid端末(そしてスマートフォン)に挑戦しているからだ。なぜグーグルのOSの代わりにWindowsを使用しないのかといえば、アプリのためである。
マイクロソフトの「Windows Phone」は、サードパーティーのアプリを引きつけられずに失敗に終わった。このためマイクロソフトは、同じ過ちを犯さないようにしている。
「Google Play ストア」にはマイクロソフト製のものも含め、多くのユーザーが欲しいアプリがほぼすべて揃っている。もちろん、どんなAndroid端末でもマイクロソフトのアプリはインストールできるが、Duoでの利用はほかにはない体験だ。マイクロソフトは、これに関してはうまくやっている。ふたつの画面は1画面より優れているのだ。
魅力的なデザイン
Surface Duoは、閉じた状態では紙の小さなノート、しかもきれいなノートのように見える。多くの現代のテクノロジーとは違って、開けば宇宙の秘密が明らかになるような、温もりと触れたくなるような魅力を感じさせる。
手に持ってみると、見た目よりも軽く感じる。驚くほど薄いので持ちやすく(これまで試したほかの2画面スマートフォンとは違って)、畳んで持ち運びやすい。ただし、幅が広いので、パンツのポケットには入らないかもしれない(尻ポケットに入れてみたところ、ぎりぎり入るか入らないかといったところだった)。