スズキGSX-S1000(6MT)【レビュー】 包容力がすごい
ハイパフォーマンスはそのままに
集合場所でスズキGSX-S1000を見て、「オッ!」と思った。「意外にオシャレかも……」。ブルーメタリック(トリトンブルーメタリック)のイメージが強い同車だが、試乗バイクのボディーカラーはシックなつや消しグレー(グラスマットメカニカルグレー)。なんだかヨーロピアンなテイストで、外観デザインのメカメカしさをうまく中和している。先代モデルでは、カウル付きの「S1000F」のほうが日本での人気が高かったが、欧州では逆だったと聞く。そんな嗜好(しこう)が、新しいS1000にも反映しているのかもしれない。
登場から6年がたちブラシュアップされたGSX-S1000のキャッチコピーは、「むき出しの攻撃性の美しさ(The Beauty of Naked Aggression)」。なるほど、いわゆるネイキッドとストリートファイターの違いをわかりやすく示している。
シート高は従来と変わらず810mm。リッター級スポーツバイクとしては優しいほうで、身長165cm昭和体形のライダー(←ワタシです)でも、両足親指の腹が接地する。バーハンドルのグリップ位置は以前より23mm広げられているそうで、やや肩を張って軽く前傾したファイティングポーズをとることになる。
これまで同様、レーシーなアルミツインスパーのフレームに、吸排気系にファインチューニングを施した998cc直列4気筒を搭載。言うまでもなくスーパーバイクたる「GSX-R1000」ゆずりの強心臓で、2005年のK5にオリジンを求められる。スポーツユニットとしての牙を残しつつ、熟成を重ねて使いやすいパワーソースに仕立てられてきた。今回、ピークパワー発生ポイントを1000rpm引き上げ、1万1000rpmで5PSアップの最高出力150PSを、最大トルクは250rpm低い9250rpmで2N・m細い105N・mを得る。
エンジンスペックの変更以上に注目されるのが、スロットル操作とバタフライ開度を電気的につないだライド・バイ・ワイヤ方式の採用である。具体的なユーザーメリットとして、3種類の走りから選択できる、新開発のドライブモード「SDMS(スズキドライブモードセレクター)」が装備された。
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