NEC、新型コロナウイルスを不活化するPCコーティングサービス開始
NECは1月19日、ビジネス・教育向けパソコンを対象に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などのウイルスや菌を不活化する「Hシールド技術」を搭載したガラスコーティング剤「Dr.ハドラスEX」の塗布サービスの提供を発表した。「Dr.ハドラスEX」はハドラスホールディングスが提供する製品で、同社とNECは今回のサービス提供にあたって独占契約を結んでいる。同サービスは、2022年2月下旬から提供開始する。
同サービスでは、「キッティングセンターでの塗布」と「現地訪問での出張塗布」の2つのメニューを提供する。いずれのメニューでも、NECの独自認定を取得した作業者がパソコンへの塗布作業を行う。NECブランド製品に限らず、新たに購入したパソコンのほか、現在使用しているパソコンもサービスの適用対象となる。なお、サービスの提供価格は以下となる。
同コーティング剤をプラスチックなどの染み込まない素材の上に塗布することで、空気中の水分と反応し高純度のガラス被膜が形成される。このガラス被膜がパソコンを汚れや傷から守るだけでなく、抗ウイルス・抗菌成分がウイルスや菌の表面のタンパク質を攻撃して破壊することで、ウイルスや菌を不活化するという。
1月14日にNEC本社で行われたメディア向けの事前説明会では、パソコンへの塗布のデモンストレーションが実施された。コーティング剤の塗布にあたっては、「タオルでのから拭き」→「ファイバークロスでのコーティング剤塗布」→「タオルでの拭き上げ」の工程を2回続けて行う。
ハドラスホールディングス 主幹研究員の小田原玄樹氏は、「から拭きは指紋や皮脂、汚れを取り除くために行う。金属やプラスチック、樹脂などほぼすべての素材に塗布可能だ。ただし、コーティング剤はサラサラした液体状なので、液体が沁み込みやすい生地・繊維には適さない」と解説した。
同サービスでは、デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット端末は対象となるが、スマートフォンはサービス対象外となる。
デスクトップパソコンは電源ボタンやキーボード、マウスなど、基本的に人の手が触れる箇所にコーティング剤を塗布する。ノートパソコンは、天板をはじめとする筐体の表面部分からディスプレイ、キーボード、タッチパッドなど全面に塗布し、タブレット端末もディスプレイとその背面に塗布する。
ただし、AFコート(防指紋コート)の上から塗布するとコーティング剤が弾かれてしまうため、AFコートがされている箇所は塗布を行わない。ディスプレイにAFコートがされている場合は、フィルムを貼り、その上から塗布することが可能だ。
今回のサービスで用いるコーティング剤は、国際機関ISOによるSIAA(抗ウイルス・抗菌加工)の認証を取得している。また、日本繊維製品品質技術センターによる評価試験では、塗布後24時間でSARS-CoV-2減少率が99.9%以上になることが確認された。さらに、ハドラスホールディングスによる試験では、塗布後のガラス膜が5年相当まで残存することが確認された。
小田原氏は、「SIAAは人の身の回りで使うことを想定した認証であり、人体への安全性を重視している。今回提供するコーティング剤も刺激性、感作性などの安全性をクリアしているため、誤って口に入ったり、皮膚に付着したりしても人体に影響はない」と説明した。