レクサスNX350h“バージョンL”(FF/CVT)【試乗記】 反撃の機運
現状を打破する姿勢
新しいレクサスNXといえば、2021年夏の世界初公開時に、ホイール締結方法がナット式からボルト式に変更された件をwebCGのデイリーコラムで取り上げさせていただいた。しかし、これに似た(すさまじく地味でありながらも、実際やるとなるとかなりのオオゴトである)宗旨替えを、新型NXはもうひとつやっている。
それはエンジンフードのロック機構だ。日本車の場合、同機構は中央に1カ所なのが一般的で、それは従来のレクサスも同様だ。しかし、NXにはレクサスとしては初めて左右2カ所のフードロックが備えられた。ボルト式ホイール締結の採用は「IS」に続くレクサスで2例目だが、この「ツインフードロック」はNXが最初である。
どちらにしても、よほどのクルマオタクでなければ「だからナニ?」で終わってしまいそうな超絶に地味な変更だ。しかし、レクサスの仮想敵にしてお手本でもあるドイツ御三家(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)では、ボルト式もツインフードロックも当たり前のように存在するディテールのひとつなのは事実である。
最近のレクサスがそういうところまで踏み込みはじめたのは、現代の技術では数値的に表せないほど微小な剛性や路面追従性を引き上げることで、人間が感じる乗り味を改善することが目的と思われる。これまでのレクサス(というか、ほぼすべての日本車)が世界的人気の名門ドイツ車に対して、いかに数値的な性能で追いつこうと、タイヤやダンパーに同じ有名ブランド品を使おうと、手厳しいエンスージァストから「なんかちがう」といわれ続けてきた。レクサス=トヨタは本気で、その現状を打破しようとしているようだ。
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