Kindleのような定番から微妙なガジェットまで、アマゾンが「ベゾス時代」に送り出した14の製品
アマゾンのなかで最も収益性の高い事業は、他社向けに販売しているクラウドインフラのサーヴィスかもしれない。それでもアマゾンは、ジェフ・ベゾスが最高経営責任者(CEO)に在任していた期間に巨大なハードウェアビジネスも築き上げてきた。その製品群は、真に革新的なものから奇妙なものまで多岐にわたる。
ベゾスが年内にCEOの座から退くというニュースを耳にして、『WIRED』US版は過去15年で最も影響力のあったアマゾンのガジェットを振り返ってみることにした。アマゾンはデヴァイスの販売数をめったに公表しないが、その数は非常に多い。また、世の中には音声アシスタント「Alexa」に対応した1億台以上ものガジェットが存在している。以下がベゾス時代に送り出された製品群のハイライトだ。
2007年:電子書籍端末「Kindle」
第1世代の「Kindle」は、2007年に発売された。価格が400ドル(約41,800円)のかさばる大きな製品で、キーは奇妙にも斜めに配置されており、しかもベゼル(画面の枠)は宇宙空間からでも見えそうなほど太かった。それにもかかわらず、6時間もたたずに売り切れた。
当時のアマゾンにとって、なすべきことは明白だった。この当時、誕生から間もない電子書籍リーダーをメディアに売り込む優れた方法は存在せず、電子書籍の市場は混乱の極みにあった。そこでアマゾンはいつもの強引な戦略を採用し、プロセスをシームレスなものにした。すなわち、ハードウェアとコンテンツの両方を販売したのである。あとは同期するだけだった。
Kindleの登場に出版業界は恐れおののいた。アマゾンはベストセラー作品の大半を、標準的なハードカヴァー書籍を大幅に下回る9.99ドルで販売すると打ち出したのだ。
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この戦略があまりにも極端だったことから、アップルは初代「iPad」の発売に際して、書籍にもっと高い価格をつけると出版社と約束することで、自社のプラットフォームと独占契約を結ぶよう説得しようとした。このことは米国政府とアップルの歴史的な裁判につながり、アップルは価格をつり上げたとして有罪判決を受けている。アップルはこの訴訟に負けはしたものの、書籍の価格設定に関しては、いまだに出版社より強大な支配権をもっている。
Kindleは初期のこうした激動の時代から大きな変化を遂げた。デヴァイスは軽い板のようなすっきりした形状へと進化した。競合として楽天の「Kobo」やバーンズ&ノーブルの「Nook」のような製品は存在しているものの、Kindleはいまも独り勝ちしている。
確かに紙の書籍はいまだに市場を支配しており、電子書籍は全書籍販売数の5分の1を占めるにすぎない。それでも電子書籍のほぼすべてがアマゾンを通して販売されている。ただし、こうした支配には疑義が呈されている。今年1月、アマゾンと5大出版社は、価格をつり上げているとして集団訴訟を起こされたのだ。しかも提訴したのはアップル訴訟のときと同じ法律事務所である。
※アマゾンの「Kindle」シリーズは、日本では8,980円から購入できる。
2011年:タブレット端末「Amazon Fire」
アマゾンの最初のタブレット端末「Amazon Kindle Fire」は、2011年11月に登場した。まだ目新しかったiPadとの競合を意図した製品である。