iPhone SEの通信が爆速に!? Linksysの最新Wi-Fi 6ルーターを試した
新型コロナウィルス感染症の影響で在宅テレワークを継続している人も多いのではないでしょうか。Web会議で重要な打ち合わせを重ねていくと、家じゅうどこにいても確実につながり、家族が一斉にアクセスしてもスピードが落ちない安定感のあるインターネット通信環境の大切さに気が付くはず。家庭のインターネット通信環境が充実していることは、仕事とプライベートの両面で重要になってくると思います。
パソコンやスマートフォン、タブレットを用いたインターネット通信に欠かせない存在となったWi-Fiですが、最新のWi-Fi 6に対応するWi-Fiルーターを導入すると、どのぐらいインターネット通信の高速化や安定化が見込めるのでしょうか。そこで、ベルキンが発売したLinksysブランドのメッシュWi-Fi 6対応ルーター「Velop AXシリーズ MX5300」(以下、MX5300)と、4月に登場してから幅広い層にヒットを続けている第2世代のiPhone SEで検証してみました。
Wi-Fi 6は通信の速度や安定感の向上が期待できる
Wi-Fi 6はWi-Fi無線通信の最新規格で、正式名称は「IEEE802.11ax」と呼びます。従来のWi-Fi 5(IEEE802.11ac)に比べて、通信速度の高速化が図られたうえ、複数デバイスの同時多接続通信時の安定性が向上しています。ほかにも、接続するクライアント端末の通信にかかる負担を軽減し、デバイスの消費電力を抑える技術などもあります。
Wi-Fi 6に対応する家庭用無線ルーター機器は、2019年後半から日本国内で次々に新製品が発表されています。今回ピックアップしたLinksysのMX5300は、今年の3月6日に販売が始まりました。価格はオープンですが、大手家電量販店などでは税込み5万円前後で販売されています。
LinksysのVelopシリーズは、複数のルーターを組み合わせてひとつの広いホームネットワークを構成できるメッシュWi-Fiルーターです。Wi-Fi 5対応のVelopシリーズと組み合わせることもできます。互換性が確保されているため、Wi-Fi 6に対応していないスマホやタブレットを接続する場合も通信速度や安定性の向上などのメリットを実感できるはずです。
アップルのデバイスでは、iPhone 11 Pro/11 Pro Max、iPhone 11、ならびに2020年3月に登場した12.9インチと11インチのiPad ProがWi-Fi 6に対応しているほか、4月24日に発売した第2世代のiPhone SEもWi-Fi 6対応モデルの輪に加わりました。
多彩な機能を備えるルーター。専用アプリによる操作感も快適
Linksys MX5300は、1台で約190平方メートルもの通信範囲をカバーできます。アンテナは5GHz×2、2.4GHz×1のトライバンド構成で、接続されている機器の混み具合に応じて3つのバンドを切り替えながら強力な信号を随時探索し、最適な方法で通信する「4×4×4 ダイナミックバックホール」技術を搭載しています。理論値の最高速度は約5.3Gbps。
今回は1台のMX5300でテストしましたが、先述した通りVelopシリーズのWi-Fiルーターと組み合わせれば、より幅広い場所をカバーするホームWi-Fiネットワークが構築できます。2階建て以上の戸建て住宅の場合、Velopシリーズを上手に張り巡らせれば、家じゅうで途切れないWi-Fi環境を作ることもできます。既存のホームネットワークに新しくルーターを追加する時は、Linksysアプリから簡単に設定ができます。
MX5300はスリムなタワー型デザインで、高さが約24cmと若干背が高いものの、約11cm四方のスペースがあれば設置できるのがポイント。ホワイトで凹凸の少ない形状が、おしゃれなリビングルームにも違和感なくなじみます。ギガビット対応イーサーネット端子も4基設けているので、スマートテレビやプリンター、スマート家電のハブなどには有線接続もできます。
筆者宅のリビングルームにMX5300をセットアップして、iPhone SEに接続してみました。Wi-Fiルーターのセットアップや機能設定は、Linksysアプリでスムーズに行えます。スマホアプリには、便利な速度計測機能も搭載されています。通信速度を続けて3度実測を行って平均値を調べたところ、平日14時ごろのダウンロード速度は213Mbps、アップロード速度は9.56Mbpsを計測。20時ごろはダウンロード速度が少し落ちましたが、それでも172Mbpsとなり、アップロード速度は10Mbpsでした。
わが家の玄関や浴室で速度を調べてみると、ダウンロード速度は昼間と夜のベストスピードをそれぞれ安定して出せていました。
高価だが、Wi-Fi 6対応ルーターの入門用にも最適
筆者宅にある10台以上の機器を同時につないでみましたが、速度が急激に減衰することはありませんでした。アプリには、常時高速接続が必要なデバイスに最大3台まで優先順位を付けられる機能もあります。例えば仕事用のPC、ビデオ会議に活躍するiPad、妻が動画視聴に使うiPhone SEなどを高速対応デバイスとして設定しておけば、それぞれストレスなく使えそうです。
ほかにも、Linksysアプリにはペアレンタルコントロールや、最大50人までのゲストに個別のパスワードで保護されたWi-Fiネットワークを生成して提供できるゲストアクセス発行の機能などがあります。アプリはとにかく直感的に使いやすく、初心者にも扱いやすいWi-Fiルーターだと感じました。
Wi-Fi 6対応のルーターは、特にギガビット対応の固定回線環境で使うと真価を発揮すると思います。MX5300を導入すれば、3LDKのマンションぐらいであればすべての部屋へ均等に、快適なWi-Fi電波を張り巡らせることができます。家族が集うリビングから離れた静かな部屋にこもってiPad Proでビデオ会議に参加したり、仕事に集中して取り組める空間作りにはとても役立つでしょう。
iPhone SEは、IP67等級の防塵・防水対応なので、浴室で過ごす時間もTVerに公開されているTVドラマの追いかけ再生が楽しめて最高でした。リビングから離れた玄関に設置したスマートスピーカー「Echo Flex」の動作も安定しています。
MX5300はやや値の張る製品ではありますが、新世代のWi-Fi 6対応ホームネットワークの優位性を実感できて、なおかつ使いやすさの点からも満足度の高い買い物になりそうです。
【まとめ】Linksys「Velop AXシリーズ MX5300」3つのポイント
著者 : 山本敦
やまもとあつしジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。
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