アルコールで誤作動するCO2センサー コロナ対策の形骸化招く
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新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから約2年が経過した。さまざまな感染症対策が登場し、街中のあちらこちらで非接触の体温計や二酸化炭素濃度測定器(CO2モニター)*1などを見かける。もちろん、対策は重要だ。ただ、こうした機器が表示する数値が正確でないとしたら、むしろ悪影響をもたらすのではないだろうか――。
*1 大気のCO2濃度が400ppm程度なのに対し、人の呼気のCO2濃度は3~4万ppm。CO2濃度は人の密集度や換気状況の指標となるため、CO2モニターの利用が広まっている。一般的に1000ppmを超えると換気などの対処が必要とされる。CO2モニター 人の密集度や換気の悪さの指標になる。1000ppmを超えるなど、値が高い場合に換気することで空気感染などを防げる。(出所:日経クロステック)[画像のクリックで拡大表示]こう思い至ったのは、展示会で見かけたCO2モニターの特徴が「消毒用アルコールに反応しないことだ」と説明を受けたからだ。この製品を展示していたのは、産業用ガス検知器・分析器を開発する理研計器。コロナ禍を受けて学校や飲食店など向けに、産業用ガスの検知で培ったノウハウを生かしたCO2モニターを開発した。
製品の特徴を聞いてやや混乱した。そもそもCO2を検知する目的なのに、アルコールに反応するものがあるとはどういうことか。「CO2モニターに組み込まれたセンサーの測定方式によっては、CO2と全く関係のないアルコールの影響で、CO2濃度を本来よりも高く認識してしまう」(同社)のだという。
では、CO2モニターに組み込まれたセンサー(CO2センサー)にはどのような測定方式があるだろうか。CO2モニターの開発などに携わる電気通信大学特任准教授の石垣陽氏によると、大きく3つのタイプに分かれる。「eCO2(equivalent CO2)方式」、「NDIR(Non Dispersive Infrared、非分散赤外線吸収法)方式」、そして「光音響方式」だ。それぞれの特徴を見ていこう。