「映像制作業務のサブノート PCとして 十分に機能する」
コロナ禍をきっかけに一気に普及した在宅ワークだが、ここ最近は徐々にオフィスワークへと戻す動きも出始めている。その背景には、テレワークの実施によって業務生産性が低下したと感じる企業が多いという事情がある。日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボの調査によると、最初の緊急事態宣言期間中だった2020年4月には6割超、それから丸1年が経過した2回目の緊急事態宣言解除後の21年4月でも5割超の企業が「テレワークにより生産性が下がった」と回答しているという。
調査を担当した日経BP 総合研究所の大和田尚孝 上席研究員は、その理由を「当初は“紙やハンコ”が原因だったが、テレワークを実施するために導入したITツールにも問題があった」と指摘する。
「Web会議ツールによる社内コミュニケーションに限界があるといった声もありますが、とくに業務の生産性に直結したのが、テレワークで使用するPCのスペックが貧弱だという点です。例えばPCの性能、画面の大きさ、カメラの解像度などが十分でないために、オフィスに比べて業務の生産性が上がりにくく、そのために出社を強いられるというケースもあるほどです。私たちが実施した調査でも、テレワークの阻害要因として『自宅のPC環境に課題がある』という回答が21.4%もありました」
さらに大和田研究員が挙げるのが、通信環境に関する課題だ。
「自宅からインターネット経由で社内に接続する場合、VPNにアクセスが集中するだけでなく、同じ回線を家族が同時に利用したときにも、通信速度が低下して業務に支障を来たすことがあります。また外出先ではセキュリティー上の観点からフリーWi-Fiの利用を禁止せざるを得ないなど、通信環境には課題が多いと言えます」
しかし、たとえコロナ禍が終息したとしても、もはや完全にオフィスワークに戻ることはない。今後はテレワークとオフィスワークを柔軟に組み合わせた「ハイブリッドワーク」が主流になると見られている。そこで必要になるのが、これまでのテレワークで使用していたIT環境を改めて見直すことだ。
「調査ではテレワークをしない理由に『ITインフラがない』とした回答が24.4%もありました。これからのハイブリッドワークを実現するためにも、今後は在宅勤務で使用する自宅の環境も含めて会社主導による対策を講じることが急務です」(大和田研究員)