しっかりとした構図決め&スムーズな水平パン操作で旅客機を撮る
デジタルカメラの機能のうち、手ブレ補正の性能や高感度撮影時の画質の向上は、撮影ジャンルによっては必須だった、三脚の存在価値を再考させるレベルまで進化したといえます。しかし、それでも写真家にとって、三脚・雲台が重要なアイテムであることに変わりはありません。その理由とはなんでしょうか。
この連載ではレオフォトブランドの製品を使う写真家に、三脚と雲台が持つ魅力と必要性を紹介していただきます。
今回寄稿いただいた写真家は岡本豊さんです。
岡本豊ボーイング787に魅了され活躍の場を航空機撮影に専心。ポートレート撮影での経験を生かし「光と影」をテーマに写真家としてキャリアを積み続ける。 航空会社の撮影、カメラセミナー等で活動中。Canon EOS学園講師 日本大学芸術学部非常勤講師。
※本企画はデジタルカメラマガジン2021年6月号より一部転載したものです。
私のボーイング787の撮影は、シャッターを切る数日前から始まる。天気図や風向き、湿度などさまざまな情報から、いつ、どこで、どのような作品を撮影するのかをイメージしている。撮影スポットに向かう頃には、頭の中ですでに撮りたい787の絵ができあがっている状態だ。
作品のテーマは「光と影」。早朝や日没以降の光量が少ない時間になると、機体にきれいに光が当たるのはほんの一瞬となる。きらめく飛行機の雄姿を逃さず、思い描いていたタイミングでシャッターを押せたときの興奮はたまらない。
そんな私の撮影スタイルに三脚は必須だ。特にボーイング787は主翼が長く、主翼を切ることなく撮影するためには、事前にしっかりと構図を決めておくことが重要となる。刻々と変わる空の明るさと飛行機との露出差も大きいので、常に設定を変更していかねばならない。三脚があると構図をキープしたままカメラの重さや手ブレにわずらわされずに露出とタイミングに集中できる。
撮影時は遠方に向かうことも多いが、躊躇なく持ち出せるのが、軽量でコンパクトなレオフォトのLS-284CEX+BV-10だ。
カーボン三脚「LS-284CEX」にビデオ雲台「BV-10」を組み合わせた状態ビデオ雲台はかさばりがちだが、BV-10はコンパクトでLS-284CEXに装着したまま付属ケースにしまえる。機内持ち込みにも対応するサイズでとても軽快だ。それでいて、超望遠レンズを使用しても安定する剛性感があり、迫り来る機体を切り取るときのしっかりとした安定感はとても頼りになる。
また、LS-284CEXはナットロックの動きがスムーズで、展望デッキや足場の悪い場所での撮影時、素早く設置できることがありがたい。
さらに、LS-284CEXにはレベリングベースが装備されているので、三脚の接地面が不安定であっても、自由雲台のような感覚で水平出しができる。ビデオ雲台のBV-10を使用している理由は、旋回していく機体を追うときや夜間の流し撮りに便利だからだ。
レベリングベースとは、雲台を水平にする機材だ。足場の悪い場所や、斜めに三脚を設置せざるを得ない場所でもカメラを水平にできるベースが三脚に装備されている。BV-10を使えば安定した水平パン操作が可能となるので、1/8秒というスローシャッターでも機体をぶらさず流し撮りができるEOS R5 / RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM / 500mm / 絞り優先AE(F8、1/1,000秒、-0.7EV) / ISO 400 / WB:オートビデオ雲台のメリットは、水平をキープしたままパン操作やチルト操作ができることにある。飛行機の離陸時に水平をキープしながら流し撮りしたり、パンしながらチルト操作をすることで、上昇する飛行機もきっちりと追える。
BV-10なら離陸していく機体を斜めに追いかけても、水平をキープ可能。飛行機に当たる光が一番良い状態や、旋回シーンの中で特に理想的な瞬間を逃さず捉えられる操作時は適度なトルクがかかるので、構図を安定させながら、手ブレを気にせず飛行機を捉え続けられるわけだ。そうして飛行機が美しく写る瞬間に集中できるからこそ、作品に自分の想いを込められる。
千里川からアプローチする着陸直前の787。飛行機全体に光が当たるわずかな瞬間を狙った。三脚で手ブレを防げるので、その瞬間に集中することができるEOS R5 / RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM / 500mm / 絞り優先AE(F8、1/1,000秒、-0.7EV) / ISO 400 / WB:オート