各種調査データから見る、国内PC市場の現在、過去、未来
2021年はGIGAスクールの反動で大幅減少
まずは、2021年の実績から見てみよう。
MM総研によると、2021年(2021年1月~12月)の国内PC市場は、前年比16.9%減の1,322万1,000台となった。
2020年の出荷実績が、GIGAスクール構想やテレワーク需要によって、1,591万台となり、1995年の統計開始以来、過去最高を記録していたが、2021年はその需要がなくなった反動があり、大幅な減少となった。
販売ルート別の出荷台数は、個人市場は前年比10.8%減の420万9,000台、法人市場は前年比19.5%減の901万2,000台となり、GIGA スクール需要がカウントされている法人市場の減少幅が大きかった。
MM総研 国内PCのルート別出荷台数の推移メーカー別シェアの順位も、GIGAスクール需要の反動が影響したものになっている。
1位のNECレノボは、前年に引き続き首位を維持したものの、シェアは34.6%から、29.4%と5.2ポイントも減少している。GIGAスクール構成ではトップシェアとなったレノボNECにとっては、その反動が最も大きく出たといえるが、首位を堅持する強さをみせた。
2位の日本HPは、2020年16.1%から、15.4%へと0.7ポイント減少。部品不足などの影響により、需要に応えきれなかった点がマイナスとなった。国内における2位のポジションを堅持するブランドとして定着してきたともいえる。
3位は富士通クライアントコンピューティングで、前年の4位から浮上した。2020年には12.1%だったシェアは、2021年には12.8%と、0.7ポイント高めた。GIGAスクール需要全体では、約4割をChromebookが占めたが、2020年にはChromebookのラインアップを持っていなかった富士通クライアントコンピューティングは、GIGAスクール需要においては、3割に留まったWindowsだけで展開。そのため効果が限定的だったといっていい。つまり、大きな影響を受けなかった分、2021年は反動が少なかったともいえる結果だ。前年割れとはなったものの、個人向け需要の好調ぶり、大手企業の需要回復も加わり、職掌幅の規模が少なかった。
4位は、デル・テクノロジーズであり、前年の3位からは1つ順位を落とした。GIGAスクール需要において、Chromebookで積極的な展開を進めてきたが、その反動が大きかったと言えるだろう。2020年のシェアは14.5%だったのに対して、2021年は12.7%となった。コンシューマ向けChromebookをラインアップしておらず、個人市場での刈り取りにつながらなかったことも要因の1つといえそうだ。
5位となったのは、Dynabook。前年と同じ5位だったが、シェアは2020年6.1%から、2021年は7.2%と、1.1ポイントもシェアを上昇させた。テレワーク需要や現場型ソリューションなどの需要を取り込んだことがプラス要素になったといえそうだ。
6位のAppleは、今回の上位ランキングでは、唯一、前年実績を上回った。順位は変わらなかったが、出荷台数は前年比17.3%増となっており、シェアは2020年の3.6%から、2021年は5.0%に上昇した。M1シリーズを搭載した製品の評価が高まり、販売増加に直結している。
MM総研 国内PC出荷台数シェア