W3C/HTML5からWHATWG/Living Standardへ、Web発展史をひもとく
私たちはPCやスマホでWebブラウザーを使わない日はないといってもよいでしょう。様々な記事を読む他、メール、音楽や動画、SNS、ショッピング、チャットやビデオ会議、書類作成など、いまやOSにインストールするアプリでできる多くのことをWeb上でできるようになりました。この特集では、そうしたWebの最新技術を解説します。
2021年1月28日、W3Cが策定していたHTML5が廃止され、HTMLの標準仕様はWHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)が管理する「HTML Living Standard」になりました。HTMLといえばW3Cの管理だったため、驚いた人も多かったでしょう。
HTMLは1989年にティム・バーナーズ・リー氏が発明して以降、仕様策定の場をIETFやW3Cといった標準化団体に移しました。これまでバージョン番号を重ね、現在の最新仕様であるWHATWGのHTML Living Standardではバージョン番号が無くなりました。HTML Living Standardという名前の通り、仕様は都度アップデート、公開されていくことになります。
HTML仕様策定の歴史[画像のクリックで拡大表示]WHATWGは米Apple(アップル)、米モジラファウンデーション(Mozilla Foundation)、ノルウェーのOpera Software(オペラソフトウエア)が2004年に設立した団体です。W3CがXML/XTHMLを推進した当時の状況を見て、実際のWeb開発者のニーズを明らかに無視していることに懸念を募らせて設立されました。
これまで最新バージョンだったHTML5は、WHATWGが策定した物をW3Cが勧告するという形で発表されました。その後、W3CとWHATWGがそれぞれ、独自のHTML標準仕様の策定を進めるという状態になりました。
ただ、多くのWebブラウザーがW3CではなくWHATWGを標準仕様としました。そこで最終的にW3Cはそれまで発表したHTMLの全ての仕様を廃止し、HTML標準仕様はWHATWGが開発することになったのです。
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