ドンキ発のネット動画専用テレビ 初代の失敗を改善し1カ月で完売
ドン・キホーテが発売した、ネット動画専用「Android TV機能搭載フルHDチューナーレススマートテレビ」
NetflixやYouTubeといった動画配信サービス(VOD)だけを大画面で楽しみたい――。そんなニーズをうまくつかんだのが、ディスカウントストアのドン・キホーテが2021年12月に発売した「チューナーを外したテレビ」だ。発売から1カ月で初回生産6000台をほぼ売り切り、スタートダッシュに成功。Android TVを搭載して快適な操作性を保ちながら、42型で3万円強と安さを追求したことが功を奏した。【関連画像】42V型が税込み3万2780円、24V型が税込み2万1780円 ドン・キホーテ(以下、ドンキ)は、プライベートブランド(PB)「情熱価格」の新商品として、「Android TV機能搭載フルHDチューナーレススマートテレビ」を2021年12月10日に発売した。商品名にテレビと入っているが、地上波を見るためのチューナーを外したため、民放の見逃し配信サービス「TVer」などのアプリを経由する方法を除き、テレビ番組は視聴できない。快適な操作性を担保するためにAndroidをベースとしたテレビ用のOS「Android TV」をドンキのPBで初めて搭載し、NetflixやYouTube、Amazon Prime Videoといった動画配信サービス(VOD)の視聴に特化したテレビだ。 売れ行きは好調で、発売から1カ月で初回生産分の計6000台がほぼ完売した。商品を企画したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスPB事業戦略本部の鷲津啓介氏は、「想像以上の売れ行き。購入の大半が個人利用で、法人利用は少ない。22年2月には同じ台数で再販を予定している」と話す。 最大の魅力は、様々なアプリとの連係が強いAndroid TVを搭載しながらも、低価格に仕上げた点にある。ネット動画に軸足を置いたテレビのニーズは年々高まっており、あえてチューナーを外し、そのぶん価格を3万円台に抑えた。近年、国内でVODが普及し、若年層を中心とする“テレビ離れ”が加速。調査会社のGEM Partners(ジェムパートナーズ、東京・港)によると、定額制VODの20年の国内市場規模は3238億円と、19年の2392億円から約35%増加している。 スペックが近い中国テレビ大手のTCLの「40S5200B」は、チューナーあり/40V型/フルHD/Android TV搭載で、実勢価格4万6800円(税込み)。細かな仕様の違いはあるが、チューナーがないドンキ商品の方が1万円以上安いのだ。 画面サイズは2種類で展開。42V型のTSM-4201F2K(税込み3万2780円)は、大画面でVODを楽しみたい人向け。24V型のTSM-2401F2K(税込み2万1780円)は、デスクトップパソコンのサブモニターとしても利用できるといった位置づけだ。映像パネルはどちらもフルハイビジョン(フルHD)を採用した。 実際に42V型を使用して動画を視聴してみた。リモコンで電源を入れ、上下左右のボタンでアプリを選ぶ動作は普通のテレビと変わらない。レスポンスはほぼ遅延がなく、そこでストレスを感じることはなかった。試しにリモコンのNetflixボタンを押すと、10秒ほどでアプリが立ち上がった。再生された動画は滑らかで、画質に違和感を覚えることはなかった。ディスプレーのリフレッシュレート(1秒間に画像を切り替える数)が60ヘルツあり、動画を楽しむうえで問題ない性能だと感じた。■ディスプレースペック(42V型)・視野角:178度・輝度:200cd/㎡(カンデラ/平方メートル)・コントラスト比:3000:1・リフレッシュレート:60Hz(ヘルツ)・応答速度:8ms(ミリ秒)
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