Engadget Logo エンガジェット日本版 航空ベンチャーBoomの超音速機15機をユナイテッド航空が購入契約。安全性テスト次第では50機まで増加も
米ユナイテッド航空が、米航空機ベンチャーのBoom Supersonicから15機の超音速旅客機"Overture"を購入する契約を結んだと発表しました。Boomには2017年に日本航空(JAL)が11億円を出資、優先予約権を獲得しています。
この契約はまず15機という格好ですが、今後のBoomの安全試験の結果によっては最大50機にまで増加する可能性を含みます。また逆に、Boomの契約履行能力次第では機数を減らすこともあり得るとされます。
Boom Overtureジェット機は、予定どおりに計画が進めば2025年には機体が完成し、2026年に飛行試験、2029年には乗客を乗せての飛行を開始することになっています。この超音速機は通常なら7時間かかるニューヨーク~ロンドン間を3時間半、15時間かかるLA~シドニー間は6時間で結ぶことができるようになるとのこと。
あなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してくださいユナイテッド航空のスコット・カービーCEOは「民間航空会社の未来におけるBoomのビジョンと、業界で最も強固なわれわれのネットワークを組み合わせれば、ビジネス・レジャー双方の旅客に素晴らしいフライトを提供できる」と述べました。
Boomは独自の超音速機開発にも取り組んでいるVirgin Groupからも超音速機を受注済み。また冒頭に記したとおり、2017年には日本のJALが出資しています。その他、英ロールス・ロイス、米国の空軍もBoomとの関係を構築しており、着実に地力を固めてきています。
2020年11月には超音速飛行のデモンストレーション機XB-1を公開。全長71フィート(約22m)でOvertureの縮小版とされるこの機体は試験飛行でマッハ1.3に到達されることが期待されています(Overtureはマッハ1.7になる予定)。
ちなみに、Boom Supersonicはこの超音速機で使用する燃料について100%CO2排出ゼロとすることを謳っていますが、それをどうやって達成するのかについての説明はまだありません。2003年にすべて退役したコンコルドは、非常に燃費が悪く高コスト体質だったため超音速機に対する環境団体の目は厳しいものがあります。またBoomは超音速機のもう一つの問題である、航空機が音速の壁を超えるときに発生する衝撃波に対しても、それを抑制する新しい技術の開発を進めています。それらの成果がどうなるかについても、まだまだ気になるところです。
Source:United Airlines(PR Newswire)